『ふつうがえらい』 佐野洋子
誰かから「そりゃ、ダメだろう」と言われたときに、あきらめてしまう人や、文句が言えない人が世の中の大多数です。ても佐野さんは「わたしがやりたいと思ってるんだから、あなたに迷惑をかけてるわけじゃないし、いいじゃない!」と思うだけではなく、やってしまうところがスゴイ自由だなと思うのです。
12歳の子どもに映画「エレファント・マン」や「ブリキの太鼓」を見せようなんて、普通の大人は考えないけど、面白そうだから子供を連れてったという彼女は自由な発想の人だと思うんです。見てから、ちょっとまずかったかな?と思いかけたけど、子どもの反応が良かったので、これは正解だったと確信してます。そう、変な思い込みなしに行動するっていいことなんだなって気づかせてくれます。
子どものころに読んで、ちっとも面白くなかった本を大人になって読み返して、やっとその意味が分かるようになったんだとつぶやくところもいいなぁ。自分はそれなりに成長してるんだと気づくことって、とても大事だなぁ。そんな風に感心してしまうポイントがたくさんありました。
旅は面倒くさくて嫌いだといいながら、新幹線ができたときには、単純に乗ってみたいという好奇心だけで乗ってみたという文章に、妙に惹かれてしまいました。そういう自由さを持って生きていたら、世の中に楽しいことはザクザクあるんだろうなと思います。
自分の好奇心、欲望、そういうものに余計な蓋をしない、それこそが自由だと感じるエッセイでした。
佐野さんは「山下清作文集」がお好きだそうです。どんな文章なのか?とても気になります。
2123冊目(今年143冊目)
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