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『ねぼけノート 認知症はじめました』 あさとひわ

ねぼけノート 認知症はじめました

あさとひわ

朝日新聞出版

NetGalleyJP

父は病院でレピー小体型認知症と診断されました。(本文より)

 最近どうも変だなぁと思って、最初に診てもらったお医者さんに「歳だから」で済まされてしまっていました。でも、それだけじゃなさそうだということで、次に診てもらったお医者さんから下された診断が「レビー小体型認知症」だったのです。

 本人も少しずつ物忘れが増えて変だなぁと思っていたのだけれど、それをお医者さんに否定され、家族にも聞いてもらえず、悶々としてしまう時期というのがあるのです。

 わたしの母が認知症の初期段階の時に言っていたのが、「自分がやったことを思い出せないことが怖いの」だったことを思い出しました。自分自身が訳が分からなくなっていく状態が怖いというのです。

 

 昔のことは思い出せるのに、ついさっきのことを思い出せないから、家の中はどんどんモノで溢れていきます。冷蔵庫や茶箪笥には賞味期限切れの、得体のしれないものが増えていきます。だから薬だって飲んだかどうか覚えてません。

 自分のおなかが空いているのは分かるけど、おなかいっぱいなのは分からないという状態になる人もいます。だから「ご飯を食べさせてくれない」発言が出るのだけど、これは認知症を分かっていない人には理解不能な状況ですよね。

 足元があおぼつかなくなっているから、床にはモノを置かないようにっていくら言っても、聞く耳を持ちません。これは認知症でなくても、老人全体に言えることですけど、モノがあり過ぎて困ります。著者のように片付けのプロに頼むのが、結局は一番早くてきれいになる方法なのですね。

 

 認知症になったお父さんは比較的穏やかな人だったからまだ良かったけれど、実はお母さんを介護の方がずっと大変な気がします。だって何も決めてくれない人なんですもの。子どものいうことなんて聞かないだろうし、最終的にはプロの力を借りて決めていくという手しかないなぁって感じました。

 認知症の行動って、わかってしまえば「なるほど」なんだけど、わけもわからず付き合っていると、ひたすらに辛いのです。そんな感じがひしひしと伝わってきました。

 文句は家族にだけ言うというタイプが日本人には多いのですけど、これは家族にとってとても負担になります。せっかくお世話をしているのに文句ばかり言われていたら、お世話している方が鬱になっちゃいますよ!元気なうちから、文句は当事者に言うという習慣をつけておかないと家族を辛い目に合わせちゃうってことに気づいて欲しいなぁ。

 

 認知症の薬は、まだ症状を止めるという程度で、治す薬はまだできていません。だから、認知症かなと思ったら一日も早く診てもらうのが大事なんですけど、なかなか病院に行きたがらないんですよね。家庭にいても診断してもらえるようなシステムができたらいいなと切に思います。

#ねぼけノート #NetGalleyJP

2122冊目(今年142冊目)

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