『短編画廊』 ローレンス・ブロック編
短編画廊
In Sunlight or in shadow
絵から生まれた17の物語
In Stories inspired by the paintings of Edward Hopper
ローレンス・ブロック 編
田口俊樹 他 訳
ホッパーの絵に登場する人物、特に女性は魅力的な姿をしているけれど、みんな何かを探しているような、寂しさを醸し出しています。そんなホッパーの絵が好きなわたしは、この作品集に心惹かれました。
17人の作家たちは、それぞれに独特な世界を持っているなと感じました。
そんな中で、特にいいなぁと思ったのは「窓ごしの劇場」と「オートマットの秋」でした。
「窓越しの劇場」
アパートの窓越しに見えるピンクの下着の女性が気に入り、モノにしようとする男の策略。彼の好きな映画「裏窓」の雰囲気を再現しているような感じです。彼女と話をする機会を狙い、デートにこぎつけ、最後はアッというような展開でした。
「オートマットの秋」
オートマットというのは、調理済みの食品を自動販売機で提供するスタイルのレストランで、ファーストフード店との競合に負けて、1990年代初頭になくなってしまったようです。
この安価で簡便なレストランで繰り広げられる心理戦が見事だと思いました。
この本には、エドワード・ホッパーの絵にインスパイアされた17編が収められています。
- 「ガーリー・ショウ」ミーガン・アボット 小林綾子 訳
- 「キャロラインの話」ジル・D・ブロック 大谷瑠璃子 訳
- 「宵の蒼」ロバート・オレン・バトラー 不二淑子 訳
- 「その出来事の真実」リー・チャイルド 小林宏明 訳
- 「海辺の部屋」ニコラス・クリストファー 大谷瑠璃子 訳
- 「夜鷹 ナイトホークス」 イクル・コナリー 古沢嘉通 訳
- 「11月10日に発生した事件につきまして」ジェフリー・ディーヴァー 池田真紀子 訳
- 「アダムズ牧師とクジラ」 クレイグ・ファーガソン 不二淑子 訳
- 「音楽室」スティーヴン・キング 白石 朗 訳
- 「映写技師ヒーロー」ジョー・R・ランズデール 鎌田三平 訳
- 「牧師のコレクション」ゲイル・レヴィン 中村ハルミ 訳
- 「夜のオフィスで」ウォーレン・ムーア 矢島真理 訳
- 「午前11時に会いましょう」ジョイス・キャロル・オーツ 門脇弘典 訳
- 「1931年、静かなる光景」クリス・ネルスコット 小林綾子 訳
- 「窓ごしの劇場」ジョナサン・サントロファー 矢島真理 訳
- 「朝日に立つ女」ジャスティン・スコット 中村ハルミ 訳
- 「オートマットの秋」ローレンス・ ブロック 田口俊樹 訳
すべての作品の最初のページにホッパーの絵が置かれていて、その絵を見るところから作品が始まるというのは、ステキなアイデアですね。どの絵からも不思議な力が漂ってくるようでした。
口絵として載せられている「コッド岬の朝」も、ステキなイメージが湧いてきます。あの女性は誰かを待っているのでしょうか。それとも・・・
2134冊目(今年154冊目)
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