『虹の岬の喫茶店』 森沢明夫
名もない岬の近くに、悦子さんという初老の女性が一人でやっている「岬カフェ」という不思議なお店があります。こんな分かりにくい場所で大丈夫かなぁ?って感じだけど、とてもおいしいコーヒーを飲ませてくれるんです。そのおいしさの秘訣を聞いてみると、「おいしくなれ!」って念じながら入れてるだけなのよって、悦子さんは笑いながら答えてくれるのです。
人はそれぞれ、他人には言えない何かを抱えています。それを誰かに言うことをためらっている人が多いのは、どうせわかってもらえないって思っているからでしょうか?それとも自分の弱みを誰にも見せたくないって思っているからでしょうか?
悦子さんは不思議な人で、そういう思いをするっと言わせてくる人なのです。こんなこと何で話しているんだろうって、自分でも不思議なんだけど話してしまう。初めて会った人なのに、何故か安心させてくれる人なのです。
家族とか親しい人ではないから、かえっていいのかもしれません。この店に来て、心の重荷を下ろしていく人が何人もいるのです。
第一章(春)アメイジング・グレイス
妻を亡くした克彦さんは娘と久し振りにドライブに出かけ、道端の小さな立て看板を見つけました。「おいしいコーヒーと音楽♪ 岬カフェ ここを左折」
第二章(夏)ガールズ・オン・ザ・ビーチ
就職がなかなか決まらないイマケンは久し振りにバイクでツーリングをしていたんだけど、途中でガス欠で立ち往生してしまいました。
第三章(秋)ザ・プレイヤー
岬カフェに泥棒が入ったんだけど、何故か悦子さんにコーヒーを淹れてもらって、身の上話をしてしまいました。
第四章(冬)ラブ・ミー・テンダー
タニさんは岬カフェの常連さん。店主の悦子さんへ誕生日プレゼントを持ってきました。
第五章(春)サンキュー・フォー・ザ・ミュージック
悦子さんの甥っ子の浩司さんは、学生時代にバンドでドラムスをやってました。
第六章(夏)岬の風と波の音
今日は悦子さんの夫の命日。墓参りに行って、夫のことをいろいろと思い出しました。
ここで救われた人は、別人のようにスッキリして元の世界へ戻っていくのです。
そういう、人生をリセットできる場所が本当にあったらいいなぁ。
2146冊目(今年166冊目)
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