『本の読み方』 草森神一
英国の推理小説家アガサ・クリスティーの母は、独特の教育論を持っていた。
「子供は八歳になるまでは字を読ませてはいけないというのだ。そのほうが目のためにも頭のためにも良いというのだった」
アガサ・クリスティー自伝の中で、彼女自身、こう語っている。「独特」と私は言ったが、19世紀末に流行した幼児教育だったのかもしれない。
ところが、物事は計画通りにはいかなかった。彼女は、勝手に読めるようになってしまうからである。(本文より)
本を読みたいアガサは、自分なりに読み方を覚えてしまい、母親の計画は見事に失敗してしまいました。
読書好きな人たちの子ども時代の話には、似たような話がいろいろと出てきます。父親の書斎に忍び込んで本棚の本を盗み読んでいたり。勉強をしているふりをして本を読んでいたり。
この本の著者の草森さんは、読書をする時間が惜しくて学校へはあまり行かなかったそうです。彼はきっと、アガサ・クリスティに自分と似たところを見出して嬉しかったのでしょうね。
「本ばっかり読んでいないで勉強しなさい。」なんて、親は偉そうに言いますけど、そんなのはムリですよ。本の魅力に取りつかれたら、他の事なんてできるはずはありません。
この本の表紙などで使用されている写真はすべて草森さん自身が撮影したものです。本を読む人の写真がほとんどなのですが、どの写真もいとおしい感じが伝わってきます。表紙の少女はどんな本を読んでいたのでしょうか?
その中に二宮金次郎の銅像の写真があって、これはたぶん東京駅前の「八重洲ブックセンター」に置かれている像だと思うのです。
働きながらも本を読んでいた二宮金次郎(二宮尊徳)は勤勉のシンボルとなり、小学校の校庭に銅像が数多く建てられました。荒俣宏の帝都物語の中で、この銅像について語られていたのを思い出しました。それ以来、この銅像を見る目が変わってしまったような気がします。
著者が紹介されていた、林真理子の「本を読む女」が気になります。近いうちに読んでみることにしましょう。
2136冊目(今年156冊目)
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