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『百日紅 下』 杉浦日向子

百日紅(さるすべり) 下

杉浦日向子(すぎうら ひなこ)

ちくま文庫

 火事と喧嘩は江戸の華とは言うけれど、お栄さんの火事好きはすごいねぇ。でも火事が好きなのはお栄さんだけじゃないんだよ。屋根の上で火事見物していた人から「姐さん、こっちがいっそよく見える」って屋根の上に上げてもらったり、夜中でも飛び出せるように草鞋を履いて寝ていたり、同じような人は大勢いたんだ。

 現代だってね、消防車の後を追っかけていくのは子どもだけじゃないんだよ。下町のおばさんはサンダルをつっかけて走ってく。わたしが小学生だった頃、近所のアパートが火事になって、みんなで学校の屋上から見物していたことがある。火事ってのは怖いけど、なぜか惹きつけられるものなのさ。

 

 江戸時代に陰間(男娼)茶屋なんてものがあってね、女郎屋のことはいろんなところで話題になるけど、こういうのはあんまり話題に上がらないのよね。ここへは女性よりも、お坊さんが大勢通ってたらしいの。こういう風俗営業が堂々と成立していたのってすごいな~。

 

 「稲妻」という話に出てくる、川獺(かわうそ)が雨の晩に提灯を下げて菅笠をかぶって人間を騙すって話に、妙に惹かれてしまう。人を騙すのはキツネやタヌキ、ムジナだけじゃなかったのね。それだけカワウソもそこいらにいたってことなんだろうなぁ。

 

 お化け、憑き物、人さらい、追いはぎ、いろんな怖いものがいるし、お金もないし、家はボロボロだし、妹は死んじゃうし、でも生きていくんだよ。意外と何とかなっちゃうんだ。お栄さんも北斎さんも、その日その日を楽しんで生きている。江戸時代って、今よりもずっと自由だったのかもしれないなぁ。

百日紅 上

2161冊目(今年181冊目)

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