『かたづの!八戸・遠野の女大名「清心尼」』 里中満智子 中島京子
江戸時代、女性という立場で、清心尼はいかにして有象無象の敵を前に生き抜いたのか。
「武器を持たない戦い」を信条とする女大名の一代記。(書籍紹介より)
八戸南部氏の20代当主である直政の妻・祢々は角が一本しかないカモシカに出会います。このカモシカが亡くなった後も、その角をお守りとして大事にする祢々でした。
叔父である南部宗家・利直の策略によって、夫と幼い息子が謎の死を遂げました。このままでは八戸は叔父に乗っ取られてしまうと考えた祢々は、当主として家臣と領民を守ると誓ったのです。
彼女は、突然剃髪して出家し「清心尼」となりました。そうすることによって叔父から進められる結婚を断ることに成功したのです。
この作戦にはビックリしました。表面上は夫のためとしていますが、利直の息のかかった人間を家に入れることを拒むための出家という策略だったのです。親戚であっても手を緩めずに八戸を手に入れようとする利直ってサイコパスだったのかなぁ。そんな人とトコトン戦った清心尼は、本当に偉いと思いました。
中島京子さんの小説を、里中満智子先生が見事に漫画化された作品です。八戸と遠野という土地のことを知ることができてとても感慨深い作品でした。
かたづのの「おつげ」に助けられながら頑張っていく清心尼さんは実に立派な働きをしました。そんな清心尼さんに恋心を抱いたかっぱさんたちも、いい活躍をしましたね。
2175冊目(今年195冊目)
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