『リアル 15』 井上雅彦
前作から6年ぶり、久しぶり過ぎてどんなところで終わったかも覚えてません(汗)
野宮くんは悩み続けています。もうバスケットボールなんかやめようと思うけど、やっぱり未練は捨てられません。無駄に暴れるばかりです。
高橋くんは、とにかくバスケットボールをやりたくて、まずは車いすで走る練習に明け暮れました。でもボールを受けることができません。ボールを投げることもできません。車いすになる前の感覚ではどうにもならないことがあり過ぎて、悲しくて悲しくてやりきれないのです。
誰かが投げたボールを受けると、その勢いで自分が倒れてしまうのです。シュートするために車いすから手を放すことが怖いし、勇気を振り絞ってシュートすると、その反動で後ろに倒れてしまうのです。
こういうことって、車いすを使わない人には想像できないことです。ボールを受けるときに、その勢いをどう逃がすかなんてわざわざ考えてないですもの。動き続ける車いすの上でどうバランスをとるのかなんてことも、考えたことがありませんでした。
現在開催されているパラリンピックの車いすバスケットボールの試合を毎日観戦しています。あんなに自由に動いて、パスして、シュートして、ディフェンスして、倒れたら自分で立ち上がって、それはそれはミラクルな世界です。
そんな彼らも最初のころは、何度も転んだり、いろんなことができなくて悔しがったりしたのでしょうね。
高橋くんが目指しているローポインターの仕事って、実はすごいことなのです。点数をたくさん入れる人が注目されがちだけど、そこに至るためには、ローポインターのディフェンス力がとても重要なのです。機能障害の度合いが高い選手が、自分の運動能力の範囲でいかにして相手の邪魔をするのか、良いポジション取りをするのか、そこは頭の勝負です。そして自分より大きく、運動能力に勝る選手と立ち向かう勇気の勝負です。
明日から試合を見るときに、ローポインターの動きがとても気になりそうです。
2181冊目(今年201冊目)
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