『YASUJI東京』 杉浦日向子
井上安治、風景画家。元治元年、浅草生れ。十四歳の時、小林清親に入門。明治二十二年没。二十五歳。安治は東京に何を見たのだろうか。明治の東京と昭和の東京を自在に往き来しつつ、夭折の画家井上安治の見た風景を追い、清親との不思議な師弟関係を描く静謐な世界。他に単行本未収録作品を併録(書籍紹介より)
江戸時代の最後の頃に生まれた井上安治。もうちょっと早く生まれていたら浮世絵師と呼ばれたのだろうけど、気が付いたら明治維新の東京のど真ん中にいて、どんどん西洋化していく街の風景を数多く残した画家です。
それまで木で作られていた建物や橋が、鉄やレンガの建築物になっていく様を、安治はどんな気持ちで見つめていたんだろう?文明開化は素晴らしいと思っていたのだろうか?それとも、江戸とはまったく違う世界になっていく東京を憂いていたのだろうか?
彼の絵は絵葉書となり、大勢の人たちが楽しんだ。当時はまだ写真が普及していなかったので、東京へ来た記念として購入した人が多かったらしい。
そんな安治の絵を日向子さんは、どんな気持ちで見ていたんだろう?いつもの日向子さんとは、ちょっと違うものを感じてしまった。
2183冊目(今年203冊目)
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