『ツレがうつになりまして。』 細川貂々
ツレがある日、「死にたい」とつぶやいた。激務とストレスでうつ病になってしまったのだ。(書籍紹介より)
うつになる人の一番の特徴は「真面目である」ということなんです。どんなに疲れていても仕事を休めない。日常の様々なことがパターン化されていて、それを崩すことができない。自分はダメな人間だと思われるのが怖いから、なんでもちゃんとやらなければならないと思っている。本当は疲れているのに、休むのが怖いから休めない。その結果うつになり、どんなことをするのも嫌になってしまう。ホントに怖い病気です。
わたしの友人にも何人かうつになった人がいます。軽いのから重いのまでいろいろな状態の人がいますけど、一人では治せない病気であることは間違いありません。とはいえ、ちゃんと理解してくれる家族なり友人なりがいないと、かえって症状が重くなります。
「頑張れ」って言葉を、わたしたちは軽い気持ちで使ってしまいますけど、これがうつの人には一番つらい言葉なのです。これまで頑張りすぎて壊れてしまった人がこれ以上どう頑張ればいいんだよってことなのだけど、当事者でない人はそこがわからないのです。
のんびり、何もしないでいていいのよって言われても、まじめなツレさんにはそれが一番難しいことだったようです。そばにいる貂々さんはさぞかし悩んだでしょうね。だって、積極的に何かをしちゃいけないって、かなり難しいことですもの。
好きなだけ寝ていていいよ。ゴロゴロしていていいよ。天気が悪くて具合が悪くなったらしょうがないじゃない。電車に乗れないなら、歩いて行こう。不安なことがあったら何でも言ってね。何もできないかもしれないけど、そばにずっといるから。
そう言ってくれる貂々さんがいたから、ツレさんは少しずつ回復していけたのでしょうね。といっても、うつは急に治るわけじゃないから、ずっとつきあっていかないとね。
でも、良かった。「死にたい」って思わなくなっただけでも、すごい進歩だもの。
「うつ」ってどんなものなのかを知らない人に、ぜひ読んでもらいたいです。
周りの無理解が彼らをどれだけ追いつめているのかを知るために。
2176冊目(今年196冊目)
« 『かたづの!八戸・遠野の女大名「清心尼」』 里中満智子 中島京子 | トップページ | 『中野信子のこども脳科学 「イヤな気持ち」をエネルギーに変える!』 »
「心・脳・身体」カテゴリの記事
- 『私の身体を生きる』 24-369-3395(2024.12.29)
- 『崑ちゃん・鎌田式老化のスピードを緩める最強の習慣!』 鎌田實×大村崑 25-4-3400(2025.01.05)
- 『すごい音楽脳』 宮崎敦子 24-342-3368(2024.12.02)
- 『麒麟模様の馬を見た 目覚めは瞬間の幻視から』 三橋昭、小野賢二郎 24-335-3361 (2024.11.25)
- 『あなたが独りで倒れて困ること30』 太田垣章子 24-333-3359(2024.11.23)
「日本の作家 は行」カテゴリの記事
- 『江戸デザイン学。』 ペン編集部 25-15-3411(2025.01.17)
- 『また団地のふたり』 藤野千夜 25-10-3406(2025.01.12)
- 『楽園のカンヴァス』 原田マハ 25-16-3412(2025.01.19)
- 『黙って喋って』 ヒコロヒー 25-5-3401(2025.01.06)
- 『力道山未亡人』 細田昌志 24-361-3387(2024.12.21)
« 『かたづの!八戸・遠野の女大名「清心尼」』 里中満智子 中島京子 | トップページ | 『中野信子のこども脳科学 「イヤな気持ち」をエネルギーに変える!』 »
コメント