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『本日も教官なり』小野寺史宜

本日も教官なり

小野寺史宜(おのでら ふみのり)

角川文庫

 益子豊士さんは自動車教習所の教官です。ここにはいろんな年代の人がやってきます。やっぱり若い子は覚えが速いからスイスイ覚えていきます。ゆっくりだけど一生懸命に頑張る中高年もいます。

 離婚してからこの職業に就いたのだけど、割とこの仕事は自分に合っているような気がします。昔と違って誰もが免許を取る時代ではなくなったから、教官の仕事のやり方も昔とはだいぶ違ってきたような気がします。

 ある日、別れた妻から連絡があって、高校2年生の娘が妊娠したというのです。相手側の家族と会うので一緒に来てくれないかと言われてドキドキしながら「もちろん行くよ」と答えたのです。

 

 娘を妊娠させてしまった男子学生の家族も、高校の校長も、なんだか冷たい人たちばかりだなぁって思います。妊娠した本人のことなんか何も考えていません。本人は産みたいと言っているのに、お金は出すから堕ろせとか、産むなら学校をやめるのが当然みたいなことを言ってくるのは何故なんでしょう。お父さんの豊士さんは怒ります。それは当然です。

 わたしの友人で、やはり高校性の時に妊娠して子供を産んだ人がいます。彼女は子供を里親に出すという選択をしました。1年休学はしたけれど、高校を卒業し、大学へ進学しました。そういう選択をしたのは、堕胎することによってその後子供を産めなくなるのが怖かったからだと言っていました。

 母体の保護はとても大事なことです。男子学生の家族からも学校からも、そういう話が全く出てこなくて、人のことを何だと思ってるんだって思い、豊士さんと一緒に怒ってしまいました。

 

 別れた家族なんだけど、豊士さんはどこかでつながっていたいと思っています。最初のころは話もしてくれなかった娘が、少し返事をしてくれるようになっただけで喜んでいるところなんか、なんだか可愛いなぁって思います。

 仕事でも、私生活でも、どこか無理をしている人が多いですね。豊士さんは昔、それが原因で病気になったことがあって、それ以降無理しないでいこうと決めたようです。働きすぎちゃいけない、無理していい人にならなくていい、ダメだと思ったらちゃんとダメだと言う。そういうスタンスで生きているから、前よりも素直な人になれたんですよね。

 教習所で、ずっとうまく進んできたのに、最後の試験でウッカリをやってしまった青年にきっぱりとダメ出しをしたところはかっこいいと思いました。教習所だからウッカリで済むけど、実際に運転するようになってからやってしまったら、誰かを傷つけてしまうのだから、これは見逃すわけにいかないと言ったところは立派でした。

2173冊目(今年193冊目)

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