『1ミリの後悔もない、はずがない』 一木けい
由井の家は貧しかったので、小学生のころはずっと同じ服を着ている、貧乏くさいといっていじめられていました。でも由井はそんなことに動じていませんでした。嫌なことを言われてもそんな奴の相手をせず、堂々と生きていたのです。
中学3年の時、同級生だった由井と桐原は惹かれあうようになりました。
あの日しゃべった内容はほとんど記憶から消えてしまったが、ひとつだけ明確に覚えていることがある。
それは「うしなった人間に対して1ミリの後悔もないということが、ありうるだろうか」というものだった。
桐原が発した問いだった。なんの話からそういう流れになったのかわからない。
私がどう答えたかも覚えていない。答えてすらいないかもしれない。
あのときは、まだ誰も失ったことがなかったから、けれど桐原は確かにそう訊いた。
その一文を、わたしはその後の人生において、何度も、折りにふれて思い出すことになる。(本文より)
中学校を卒業した後、2人は別々の人生を歩んでいったのだけど、お互いのことが心の片隅に残っていて、時々思い出すのです。
わたしの人生は後悔だらけです。自分でやらかしてしまったことも、自分ではどうにもできなかったことも、いろいろあるけど、それでいいんだって思います。
いつだったか友達と「やっちゃった後悔ならいいけど、やらなかった後悔は嫌だよね」という話をしたことがありました。そう、やっちゃった後悔なら、後で笑い話になるもの。どんどんやっちゃおう!ってね。
1ミリどころじゃない後悔がたくさんあるけど、それはそれでいいじゃない。何もないよりずっといい。由井もそんなことを考えてたんじゃないかと思うのです。
5編の連作で、物語が展開していきます。
・西国疾走少女
・ドライブスルーに行きたい
・潮時
・穴底の部屋
・千波万波
最後に、「潮時」の雄一さん、あなたは本当の勇気と優しさがある人です。だから由井さんの素晴らしさに気がついてくれたんですね。
2167冊目(今年187冊目)
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