『赤でもなく青でもなく 夕焼け檸檬の文化祭』 丸井とまと
「これから半年以内に、貴方の運命を変える出来事が起こるわ。その時が来たら、その人の手を取りなさい」
高校一年生の遠藤彩(えんどう・あや)が、不思議な占い師にそう言われてから数日後。確かに運命は変わりはじめた。(書籍紹介より)
彩は本当は勉強もできるししっかりした子なんだけど、自分自身に自信を持てなくて、誰かに合わせることばかりしてきました。学校でも、家でも、彼とでも、本当に自分が考えていることを素直に言うことを怖がっていました。
そんな彼女が文化祭のリーダーに指名されてしまいます。クラスメートを束ねていくなんてわたしには無理だと思って、担任の教師になぜ自分なのかと尋ねてみたら、こういう返事が返ってきました。「選ばない理由がなかったからだよ」
今まで苦手だと思っていたクラスメートの渉に、同性の恋人たいたことを知ってしまいました。渉から自分のことを「気持ち悪いって思うだろ」と言われた彩はこう答えたのです。「思わないよ。誰に恋しようと、そんなの自由じゃん」
子どものころから「女の子は赤、男の子は青」って、何の疑問もなく従ってきたけど、それっておかしくない?お姉ちゃんだから我慢しなさいって言われたり、同性と付き合うのは気持ち悪いって言われたり、そんなことどうして勝手に決めつけるの?
2人はそれまで誰にも言えなかった心の中の嫌なものを、わかってくれる人がいるということに救われます。
文化祭に向ってクラスのみんなで力を合わせていくということに、少しずつ楽しさを見出し、自分がそこにいて役に立っているという充実感が生まれていくところが良かったなぁ。それまで知らなかったお互いのことを知るって、楽しいですもの。
試験前にクラスで勉強会をやっているシーンでは、自分の高校生時代を思い出しました。クラスの中でその科目が得意な人がプリントを作って、説明してくれる勉強会は楽しかったなぁ。文化祭の出し物の企画とか、合唱祭の練習とか、楽しいことを沢山思い出しました。
自分が他人と違っていることをコンプレックスに感じてしまっている人が多いのは何故なのでしょうね。それぞれに個性があって、それぞれの良いところを見つけられればいいのになぁ。もし足りないところがあったら補い合えばいいんだしね。そういうのが不得意な人は、ひとりでいる自由だってあるし、ホントは何でもありなはずなのを邪魔しているのは、誰なのでしょうか?
そんなことをいろいろと考えつつ、学生時代っていつも楽しかったなって思いにふけっております。
#赤でもなく青でもなく #NetGalleyJP
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