『永遠のソール・ライター』 ソール・ライター
写真って、見えたものをそのまま残すものと思われがちだけど、この写真集を見ているとそれだけではないなと思えてきます。もちろん、構図とかバックの処理とかある程度は作っているのですが、それだけではない何かが映っているのです。
曇ったガラス越しの景色、被写体として意識していた以外のものが後ろに写りこんでいたり、写真を撮っている自分がガラスに映っていたりするのって面白いなぁ。さりげない自撮りなんですよね。
むかし友達とナイアガラの滝へ行って、スカイロンタワーから写真を撮っていた時に、その友人が急に後ろを向いてガラスに映っている自分の写真を撮っていたのを思い出しました。一人旅の時にはこの技が大事なんだって言ってたっけ。
写真はその時を切り取るものだから、その時にしか撮れない景色が残るのです。ピントが合っていなくても、構図が変でも、とにかく撮っておくことが大事です。
ネガフィルムをベタ焼きした画像も、とっても魅力的ですね。昔は写真が貴重だったから、これでどんな写真が撮れたか確認してから大きく焼き増しすることがよくありました。1枚ずつの写真とはまた違った魅力がベタ焼きにはありますね。
昔はカメラで写真を撮ったら、現像するまでどんな写真が撮れたかわからなくて、現像された写真を見て喜んだり、がっかりしたりしてました。でも、がっかりした写真だって何十年もたつと別の意味を持つこともあるんです。撮っといてよかったと思う時もあるんです。
写真って不思議です。そこに映っているものから、まったく別のものを思い出すことがあったり、当時のことを思い出したり。
写真集を眺める時間というのも、いいものですね。
2209冊目(今年229冊目)
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