『本が紡いだ五つの奇跡』 森沢明夫
小さな出版社に勤めている津山奈緒は、涼元マサミという作家に小説を書いてもらいたいと思っています。でも、上司や先輩たちはみんな「それは無理だよ」って顔をしています。でも、どうしても書いてもらいたいのです。だってこの作家の本のおかげで自分は救われたのですから。
やっと涼元マサミと打ち合わせをすることができるようになり、ドキドキしながら依頼をする奈緒ですが、涼元はマトモに取り合ってくれません。
一冊の本が読者の手に渡るまでにはいろんな手順がありますけど、この本の場合は編集部からの依頼があって、作家が文章を書き、デザイナーが本の装丁をし、書店にプルーフ本を渡して前もって読んでもらい、書店員が作ったポップとともに本を店頭に並べています。
ヒットを出したことがない編集者、売れない小説家、これが最後の仕事になるかもしれないデザイナー、この本を読んで勇気をもらった読者、それぞれの思いが交錯します。
それぞれに悩みがあり、夢があり、一歩前へ進んでいいのかをためらい、誰かに背中をポンと押してもらうのを待っているのかもしれません。上手く背中を押してもらえたから、それをきちんと受け止められたから、人は何かを決断できるのですね。
涼元マサミが書いた「さよならドグマ」はどんな小説だったのかしら?
第一話 編集者・津山奈緒の章
第二話 小説家・涼元マサミの章
第三話 デザイナー・青山哲也の章
第四話 書店員・白川心美の章
第五話 読者・唐田一成の章
第五話に、虹の岬の喫茶店がちょっと登場しました。あそこのコーヒーはおいしそうだなぁ。一冊の本が生み出した不思議な連鎖は、幸せな連鎖になったようです。
#本が紡いだ五つの奇跡 #NetGalleyJP
2197冊目(今年217冊目)
« 『ぼくは勉強ができない』 山田詠美 | トップページ | 『カピバラさんのだるまさんがころんだ』中川ひろたか 柴田ケイコ »
「日本の作家 ま行」カテゴリの記事
- 『すごい音楽脳』 宮崎敦子 24-342-3368(2024.12.02)
- 『麒麟模様の馬を見た 目覚めは瞬間の幻視から』 三橋昭、小野賢二郎 24-335-3361 (2024.11.25)
- 『路上のセンス・オブ・ワンダーと遙かなるそこらへんの旅』 宮田珠己 24-328-3354(2024.11.18)
- 『夢をかなえるゾウ 0(ゼロ)』 水野敬也 24-327-3353(2024.11.17)
- 『驚きの介護民俗学』 六車由実 24-310-3336(2024.10.31)
「NetGalleyJP」カテゴリの記事
- 『朝読みのライスおばさん』 長江優子 みずうちさとみ 24-336-3362(2024.11.26)
- 『がいとうのひっこし』 山田彩央里 、山田和明 24-318-3344(2024.11.08)
- 『さよならの向う側 ’90s』 清水晴木 24-330-3356(2024.11.20)
- 『人魚が逃げた』 青山美智子 24-324-3350(2024.11.14)
« 『ぼくは勉強ができない』 山田詠美 | トップページ | 『カピバラさんのだるまさんがころんだ』中川ひろたか 柴田ケイコ »
コメント