『井上安治版画集「明治の東京風景」』 井上安治
杉浦日向子さんの「YASUJI東京」で知った井上安治という画家の版画集を図書館で借りてきました。とにかく作品数の多さにビックリです。
実際に見に行って書いたものがほとんどですが、実際に行けなくて写真を元に書いているものも何点かあるようです。
それまで木だった橋や建物が、鉄やコンクリートで作られるようになりました。西洋建築は当時の人たちにとってさぞかし物珍しいものだったのでしょうね。新しくできた建造物を見るという観光が生まれたようです。
安治は東京の名所を紹介する絵葉書の絵をたくさん描いています。それをお土産として購入する人が多くて、安治はかなりの売れっ子だったようです。
この版画集に収められている、明治初頭に作られた建造物や風景は、その後の震災や戦争でかなり消失しています。残ったものも、戦後の開発でかなりなくなってしまっていて、当時の風景はこういう形でしか見られなくなっています。
かつては盛り場であった場所だからこそ、こうやって描かれているわけですが、その後の街の変貌によって過去の記憶が消えてしまっている場所が多いのだなぁと気付かされました。
見れば見るほど発見がある、素晴らしい版画集でした。
P.S. 本所御蔵橋が、先日お参りに行った東京都慰霊堂のある都立横網町公園にあったということを、この版画集で初めて知りました。最近遺跡も見つかったということなので、今度見に行こうと思います。
2185冊目(今年205冊目)
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