『獣たちのコロシアム 池袋ウエストゲートパーク XVI 16』石田衣良
コロナで自粛生活する人が増えても、池袋では事件が起きない日なんてない。あの手この手で悪事を働く輩はどうしてこんなに多いんだろう。おかげで、マコトのところに助けを求めに来る人がいなくなることはない。
・タピオカミルクティの夢
サルがタピオカミルクティの店を出した。そこに50がらみのおっさんがやって来て、バイトさせてほしいというんだ。話をよく聞いてみると、彼は会社で全く仕事を与えられず、早く転職しろというプレッシャーを受けているんだそうだ。
・北口ラブホ・バンディッツ
個人営業のラブホの売上金を狙う強盗が流行っているらしい。マコトの中学校の同級生だったミノリから、実家がやっているラブホも狙われるんじゃないかと心配なので助けてほしいという連絡が入った。
・バースデイコールの甘い罠
電話での詐欺というと、オレオレ詐欺みたいな老人をターゲットにしたものだけだと思っていたら、若い女性をターゲットにした詐欺も最近増えてるんだそうだ。
・獣たちのコロシアム
児童虐待のニュースが最近多い。でも、捕まっているのはほんの一握り。児童虐待の裏組織を叩き潰したいんだという相談をマコトは受けた。もちろん承諾した。キング・タカシもゼロワンも、この作戦に協力してくれたんだ。
この本が出たのは1年ほど前なんだけど、「獣たちのコロシアム」に出てくる児童虐待の手口が、先月3歳児が熱湯をかけられて殺害された事件とそっくりでビックリしてしまいました。子どもを虐待し、その動画を撮るのが好きな大人がいて、しかもほとんどの場合は男親だというのは、どういうことなんでしょうか?
家庭という密室の中で犯罪が行われていても、ほとんどの場合に助けることができないのは、「親は子供を傷つけるはずがない」という間違った考えがあるからなのでしょうね。家族から虐待を受けていると本人が訴え出てもなかなか助けてもらえません。ましてや、隣人からの通報だけではどうにもできないこともあるっていうのが日本の現実です。
少子化うんぬんを問題視するなら、この子たちをどうして助けないのでしょう?子どもの時に受けた心の傷は一生消えません。人を信じることができない。パニック障害を持ってしまう。自分を傷つける。そして自殺する。悲しすぎる人生じゃないですか!
毎年1冊出版されるこのシリーズで、毎回新しい犯罪が生まれていることを知ります。どうして、こんなにひどい奴が大勢いるのかしら?どうして悪事はどんどん進化していくのかしら?
人と人との距離が昔よりも遠くなってしまっているから、一人で悩んでいる人が多いということも多いんですね。誰に助けを求めたらいいのかわからない、何処へ逃げたらいいのかわからない。
信頼できる誰かとつながっていることこそが、こんな時代を生き抜いていくための最後の砦なのかな。本当に信じられる人がいたら、なんとか生きていけるってことを、知らない人が多いのかな。
そんなことを考えさせられました。
2229冊目(今年249冊目)
« 『「カムカムエヴリバディ」の平川唯一』 平川洌 | トップページ | 『100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集』 福井県立図書館 »
「日本の作家 あ行」カテゴリの記事
- 『うおつか流食べつくす!』 魚柄仁之助 25-338-3734(2025.12.06)
- 『さよならジャバウォック』 伊坂幸太郎 25-336-3732 (2025.12.04)
- 『記憶する体』 伊藤亜紗 25-328-3724(2025.11.26)
- 『同志少女よ、敵を撃て』 逢坂冬馬 25-340-3736(2025.12.08)
- 『ハンチバック』 市川沙央 25-325-3721(2025.11.23)
« 『「カムカムエヴリバディ」の平川唯一』 平川洌 | トップページ | 『100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集』 福井県立図書館 »



コメント