『戦争は女の顔をしていない 1』 小梅けいと
ソ連では第二次世界大戦で百万人をこえる女性が従軍し、看護婦や軍医としてのみならず兵士として武器を手にして戦いました。500人以上の従軍女性から聞き取りをおこない戦争の真実を明らかにした、ノーベル文学賞受賞作家スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチの作品をコミック化したものです。(書籍紹介より)
看護師や通信士として戦った女性はほかの国にもいましたが、公式に前線で兵士として戦ったのはたぶんソ連だけです。狙撃兵として、戦闘機のパイロットとして戦った人もいました。多くの女性たちが極寒のソ連の大地で戦っていたのです。
インタビューに答えた女性たちは様々な困難に出会いますが、ある女性はこう証言したのです。
「戦争で一番恐ろしかったのは、男物のパンツをはいていることだよ。」
軍服も装備も軍隊ではすべてが男のためにできています。上着やズボンは軍服だから男と同じでも仕方ありません。でも、下着も男物なのは嫌だったというのです。戦争が始まって2年後にやっと女物の下着が支給されたのがホントにうれしかったと語っている人がいました。
そして、下着よりももっと深刻なのが生理用品がないということなのです。怪我人のための綿や包帯だって不足している中、彼女たちは生理用品なしで毎日を過ごしていたのです。行軍している道に赤い血の跡がついていたというのは、余りにつらい。
川を見つけたら、すぐに飛び込んで血を洗っていたという彼女たち。川の中で敵に打たれて死んだ人もいたけど、そんな恐怖よりも汚れた下着を洗いたいという気持ちの方が勝っていたというのは、男たちにはわからないことでしょうね。
女だから役に立たないと思われたくないから、必死に戦い続けた彼女たちの歴史を、忘れてはいけない、無くしてはいけない、そんな気持ちを強く持ちました。
こんなことが本当にあったのです!
原作の本も読んでみようと思います。
この作品のことは石田衣良さんの「大人の放課後ラジオ」で知りました。
2223冊目(今年243冊目)
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