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『しずかな日々』 椰月美智子

しずかな日々

椰月美智子(やづき みちこ)

講談社文庫

第45回野間児童文芸賞
第23回坪田譲治文学賞

 僕は5年生になった。それまで学校の友達なんていなかったのに、後ろの席に座っていた押野くんがいきなり声をかけてきた。学校が終わってから3丁目の公園に来いよって、そんなこと言われたのが初めてだったから、ちょっとドキドキしたけど行ってみた。そしたら知らない子もいて、みんなで野球をするっていうんだ。僕は野球なんてやったことなかったから、とってもヘタクソだったけど楽しかった。その日から押野くんと友達になった。それまでずっと独りぼっちだったのに、友達ができて、学校が楽しくなった。「えだいち」っていうニックネームもついた。

 僕はお母さんと2人暮らしだから、夕ご飯の支度をしたりするのは普通のことだった。淡々とした毎日を過ごしていた。でもある日お母さんが新しい仕事をするから引っ越しをするって言い出したんだ。それは困る!せっかく友達ができたのに、誰も知らないところになんか行きたくない!

 お母さんと話し合いをしたら、思ってもいない案が出てきた。近くに住んでいるおじいちゃんの家に住まわせてもらえば、転校しなくていいっていうんだ。でも、僕はおじいちゃんがどんな人なのか知らない。不安な気持ちのまま、おじいちゃんに会いに行った。

 

 結局、おじいちゃんとの生活が始まったんですけど、これが意外と楽しいんですよ。家は広いし、おじいちゃんは細かいことには干渉してこないし、家に友達は呼べるし、えだいちくんは小学生男子らしい生活をし始めました。

 子どもって、大人が思うよりもずっと気を使って生きてるんです。えだいちくんだって、どうして自分にはお父さんがいないのか?とか、なぜこんなに近くに住んでいるのにお母さんとおじいさんは他人行儀な関係なのか?ってことが気になってるけど、聞くことができないんです。そんなことを聞いてお母さんの機嫌が悪くなるかもしれないとか、本当のことを知ったらショックを受けちゃうんじゃないかとか、思ってるんでしょうね。

 初めて友達になってくれた押野くんから、いろんなことを教わります。もっと気楽に生きていこうよ、言いたいことは言えよ、人とのコミュニケーションとか、人生観とか、なぁんだ色々悩まなくっていいんだってことを教わります。

 おじいさんは、言葉は少ないけれど優しい人です。食の細いえだいちくんに大きなおにぎりを作ってくれたり、えだいちくんが作るごはんに「おいしい」と言ってくれたり、家族の温かさを教えてくれました。

 えだいちくんの友達に美味しい漬物と熱いお茶をふるまってくれたのには笑っちゃいました。こういうおやつは初めてだったんだろうなぁ。みんな、おじいちゃんの漬物のファンになってしまって、この家に来るたびに漬物ばっかり食べてます。

 

 他人から見たら、お母さんと一緒に暮らせないえだいちくんは不幸に見えるかもしれないけど、おじいちゃんとの暮らしを選んだからこそ、彼は幸せをつかめたなって思います。みんなが集まってくる家、遠慮のいらない家族、こういう人生こそ最高ですよ!

2217冊目(今年237冊目)

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