『ムーミン谷の十一月』 トーベ・ヤンソン
ものさびしい気配がおしよせるムーミン谷の十一月。ムーミン一家に会いたくて、ムーミン谷へ行きたくて、集まってくる六人。
ムーミンママになぐさめてもらいたいホムサ、ひとりでいるのがこわくなったフィリフヨンカ、自分でないなにかになりたいヘムレンさん、養女にいった妹のミイに会いたくなったミムラねえさん、ずっと昔にいったムーミン谷の小川で気ままにすごしたくなったスクルッタおじさん、五つの音色をさがしにムーミン谷へもどったスナフキン。
ところが、ムーミン屋敷はもぬけのから。待てど暮らせどムーミン一家はもどってきません。六人の奇妙な共同生活がはじまります。(書籍紹介より)
みんなムーミン一家に会いたくてやってきたのに、家には誰もいませんでした。でも、すぐに帰ってくるような気がして、みんなこの家にとどまります。一緒に食事をするけど、ムーミン一家がいるときのような、ほのぼのとした感じではなくて、それぞれ自分勝手なことばかり言ってます。
明るくて元気なのはミムラねえさんだけで、あとの五人はみんなブツブツ文句ばっかり言っていて、そうか、みんなムーミン一家に癒されていたんだなって気がつきます。いつもはマイペースなスナフキンさえも、ペースを乱されて機嫌が悪くなってしまいました。
もうすぐ冬だから、みんな温かい家にあこがれてたのかしら?でも、普段ひとり暮らしをしている人ばかりだから、どうも勝手がわからないってところかしら?
でも、ここに来たおかげで、みんなそれぞれの問題に真剣に向き合うことができたんようです。今まで気がつかなかった自分の心の動きを誰かに指摘してもらうことで、最初は嫌だったけど、でも初めて自分のことがわかったのじゃないかしら。
それぞれが、今までとちょっと違った自分になって、自分の家に帰ったころ、ムーミン一家はおうちに帰ってくるのでしょう。
2250冊目(今年270冊目)
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