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『アルケミスト』 パウロ・コエーリョ

アルケミスト
O Alzuimista

パウロ・コエーリョ
Paulo Coelho

角川文庫

カドブン夏フェア2022

ブラジル

”本が好き!” の2021年夏文庫フェアに挑戦!(1)カドフェス」制覇記念特典「参加者の皆様の中から抽選で5名の方にはお好きなカドフェス本を1冊ずつプレゼント」に当選してこの本をいただきました。素晴らしい本をありがとうございます。

 アンダルシアの平原で羊飼いをしていたサンチャゴは、ピラミッドに宝物が隠されているという夢を2度見たのです。そして、それを確かめるためにエジプトへ向かうことを決めました。

 最初はアフリカへ渡る船に乗ればすぐにエジプトへ行けるような気でいたのです。でも、そんな簡単なことではありませんでした。言葉もわからない土地で、誰に何を聞けばいいのかもわからず、お金も盗られてしまい、路頭に迷います。

 

私たちは持っているもの、それが命であれ、所有物であれ、土地であれ、それを失うことを恐れています。しかし、自分の人生の物語と世界の歴史が、同じものの手によって書かれていると知った時、そんな恐れは消えてしまうのです

 失ってしまったものにいつまでも囚われていては何もできません。彼は働く場所を見つけ、お金をためて旅の続きを目指します。

 

錬金術師は答えた。「夢を追求していくと、お前が今まで得たものをすべてうしなうかもしれないと、心は恐れているのだ」
「それならば、なぜ、僕の心に耳を傾けなくてはならないのですか?」
「なぜならば、心を黙らせることはできないからだ。たとえおまえが心の言うことを聞かなかったふりをしても、それはおまえの中にいつもいて、おまえが人生や世界をどう考えているか、繰り返し言い続けるものだ」

 謎の老人や錬金術師はサンチャゴに様々な言葉をかけてくれます。その言葉に共通しているのは、「何かを強く望めば宇宙のすべてが協力して実現するように助けてくれる」「前兆に従うこと」でした。

 自分の直感を信じること、自分の信念を信じること、それを忘れずにいればおのずと道は開けるというのです。みんな夢を持って生きていたはずなのに、それを実現できないのは、自分の思いは実現できないものだと思い込んでしまっているからだというのです。

 今幸せだから、今満ち足りているから、夢を捨てていいのか?何年かしたら幸せではなくなるかもしれない。不幸ではなかったとしても、夢を捨てたことを悔やんでいたとしたら、それを幸せと呼べるのか?

 これは大きなテーマです。

 自分が本当に求めている何かを、都合のいい理由を付けて諦めているのは何故なのか?

 それは恐れだ!

 このことについて、真剣に考えなければならないのです。

 「マクトゥーブ」という言葉が何度も登場します。アラビア語で「書かれている」という意味なのだそうですが、もっと深い意味があるような気がします。運命とか、使命とか、神が示唆した道というようなことなのでしょうか。

 死ぬまで夢を追い続ける自由を捨ててはいけないと、気づかせてくれたこの本に感謝!

2257冊目(今年277冊目)

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