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『装丁物語』 和田誠

装丁物語

和田誠(わだ まこと)

中公文庫

 和田さんが装丁した本をどれだけ読んだだろう?最初に買ったのは遠藤周作さんの「狐狸庵シリーズ」のどれかだったと思う。表紙が見えていればもちろんすぐに和田さんの作だとわかる。単行本だったら「背」に書かれたタイトルの文字が独特の「和田さんフォント」だからすぐにわかる。

 和田さんの絵と文字を組み合わせた装丁は、色がきれいで、絵に何とも言えない面白さがあって、手書きの文字の柔らかさがあって、楽しいのです。似顔絵もよく使われていて、強面の人であってもなんだか可愛らしく描かれていて「ふふふ」って微笑んでしまう感じがとても好きです。

 ゲラの段階で内容はだいたい読んでからデザインされるということなのですが、本の内容に則したものでありながらネタバレにならない絵を心がけてらっしゃったそうです。時には写真も使うし、他の人の絵も使うけど、やっぱり和田さんの絵が使われているものが好きだなぁ。

 

 デザインにとてもこだわってらっしゃった和田さんが、バーコードと戦っていたということをこの本で初めて知りました。裏表紙の左上にバーコードを入れられてしまったら、せっかくのデザインの邪魔になるじゃないか!という話を出版社の方たちにしたけれど、デザインなんて何とも思っていない人たちに勝手に決められてしまって腹が立ったということが最後の方に書かれていて、普段は穏やかな和田さんが激怒しているのにビックリしたのです。

 バーコード導入後は、それも含んだデザインということで作っていくことができますが、導入以前に作られた本に関しては、バーコードを事務的に定位置に入れるという作業が行われていたことに違和感を感じたのはデザイナーとして当然のことです。

 バーコードを導入することで、本の管理は確かに楽になったけど、本のデザインに対する配慮がなかったということも事実です。

 

 多くの本の装丁をされた和田さんの仕事へのこだわりはすごいなぁと思います。自分としての納得度も高く、本の著者にも気に入ってもらえるデザインを心がけていたから、出版社がいい加減なことをすると、かなり怒っていたのも当然です。

 2019年にお亡くなりになって、和田さんが装丁した新しい本はもう出ないんだよなぁと思うと、なんだか寂しくてしょうがないのです。

2260冊目(今年280冊目)

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