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『隠れの子 東京バンドワゴン零』 小路幸也

隠れの子
東京バンドワゴン零

小路幸也(しょうじ ゆきや)

集英社文庫

江戸北町奉行所定廻り同心の堀田州次郎と、植木屋を営む神楽屋で子守をしながら暮らしている少女・るうは、ともに「隠れ」と呼ばれる力を持つ者だった。州次郎はたぐいまれな嗅覚を、るうは隠れの能力を消す力を……。州次郎の養父を殺した者を探すべく、ふたりは江戸中を駆け巡る。それはまた隠れが平穏に暮らすための闘いだった。(書籍紹介より)

 この物語に登場する「隠れ」と呼ばれる力は、遠くのものが見える千里眼、小さな音でも聞き取れる聴力、人や物のにおいをかぎ分ける力、怪力、などなど、特殊能力・超能力というたぐいのものらしい。生まれつき持ってしまった特殊な力を、子どものころは制御できずにいて親や周りの大人から叱られたり避けられたりして、人によっては寺に入れられたり、捨てられたりもしていたという。

 スティーヴン・キングの「ファイヤー・スターター」や筒井康隆の「家族百景」、恩田陸の「常野物語」など、こういう特殊な力を持った人たちの物語はいろいろあるけれど、そういう力を持っている人が世間から理解されないその力を隠しながら生きていくという話がほとんどでした。でも、この物語は違うのです。特別な力を持った人たちが力を合わせて生きていこうとする物語なのです。そういうところが小路さんらしいところなのかしらと思います。

 同心の堀田州次郎さんは、最初は自分がそんな力を持っているとは気づいていなかったのに、ある事件に遭遇したことで自分の能力を知ることになります。この堀田さん、どうやら「東京バンドワゴン」の堀田家のご先祖様らしいのです。この方から本屋さんの堀田家にどうつながっていったのかしら?

 もう一人の重要な登場人物である「るう」は堀田さんとは全く違う力を持っています。それを植木屋「道楽屋」の主人である神楽鉄斎さんに見出され、この店で奉公をしています。

 どうやら、この二人を中心とした物語がこの後も続きそうですよ。続きが楽しみです。

2252冊目(今年272冊目)

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