『作家で億は稼げません』 吉田親司
ベストセラーは出せなくとも好きな本を書いて生きていける
本書は僕のように売れていない作家がレクチャーする「凡才ならではのサバイバル方法」になります。
多くの小説家は悲しいかな「億は稼げません」。
それでも、生涯「作家」という好きな道で生きていくテクニックなら、僕にも教えることができます。
この本が、天賦の才も運も持って生まれてこなかった、僕と似た作家志望者の方々の道しるべになれば、と思っています。(吉田親司)
吉田さんが語る、これまでの作家としての歩みはすごいなぁと思います。本人は「特別の才能があるわけじゃない」とおっしゃいますが、いやいや、そんなことはありません。20年以上文章を書き続け、仮想戦記ものを中心にたくさんの本を世に送り出され、この本が107冊目というのですから、間違いなく才能ある方です。そして、それ以上に凄いのは、本を書いて出版するためにありとあらゆる努力をされた方だということなのです。
最初は新人賞を狙い、たとえ賞は取れなかったとしても編集者の目に留まることができたら、とにかく1冊目の本を出すこと。それが最初の一歩なんだと力説されています。その1冊こそが、それ以降の自分の名刺なのだというのです。出版社からもらった自分の著作本を、別の出版社に献本して、自分はこんな作家ですという紹介にするのです。
出版社からもらった分だけで足りないときには自費で本を買い、それも献本として使います。少なくない金額ですけど、これは自分のための投資、そして必要経費で落とすこともできるという、超現実的なアドバイスも語られています。
そして、たった1社でもリアクションがあればしめたものです。ですから、常に次の作品のアイデアを練っておくことも大事だと語られています。
ありがたい編集者、とんでもない編集者、きちんとした出版社、いいかげんな出版社、いろんな話が出てきます。文章を書く才能も大事ですけど、良い編集者や出版社と付き合っていくには自分が努力する作家であることが大事だというところが、吉田さんがこれまで作家を続けてこられた秘訣なのだと思います。
コロナ過で、本を読む人は増えたけれど、肝心の書店が休業したり閉店したり、出版社が倒産してしまったり、作家の皆さんにとっても大変なことになっていたという話は、もっと多くの人に知ってもらいたい事実だなと思いました。
この本を読んで、作家になるのを諦めてしまう人もいそうなくらい、現実は厳しいです。でも夢を追いかける気持ちがあるなら、ぜひ一度読んでみてください。
#作家で億は稼げません小説作家ベストセラー直木賞芥川賞 #NetGalleyJP
2270冊目(今年290冊目)
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