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『地球星人』 村田沙耶香

地球星人

村田沙耶香(むらた さやか)

新潮文庫

恋愛や生殖を強制する世間になじめず、ネットで見つけた夫と性行為なしの婚姻生活を送る34歳の奈月。夫とともに田舎の親戚の家を訪れた彼女は、いとこの由宇に再会する。小学生の頃、自らを魔法少女と宇宙人だと信じていた二人は秘密の恋人同士だった。だが大人になった由宇は「地球星人」の常識に洗脳されかけていて(書籍紹介より)

 奈月は、子どものころからずっと誰にも理解されないできた。姉も母も自分のことをどうでもいい存在だと思ってる。でも自分は彼らとは違うんだから仕方ないと割り切って生きてきた。ただ一人の理解者である従弟の由宇に1年に一回、夏休みに田舎のおじいちゃんの家で会えるのを楽しみにしていた。でも、あの事件以来、2人は二度と会うことができなくなってしまった。

 奈月が言うことを、周りの誰も理解してくれないのは、奈月が変だからだとみんな言うけれど、本当にそうなのか?と考えてみると、不思議な感じがしてくる。

 周りが「これが常識」とか「これが普通」と言うものに合わせられれば生きていくのは簡単だろうけど、そうじゃない人は生きていてはいけないのか?「真面目に働け」「結婚して子供を産め」と強要されるけど、それって洗脳じゃない?という奈月の主張も、あながち間違ってないよなぁと思えてくる。

 村田沙耶香という作家は不思議な感性を持ってる。社会にうまく適応できない人に対して社会がふるう暴力を、こういう形で表現するのって、すごいなぁと思う。確かに奈月たちがやっていることは常識の世界の人たちから言えばクレイジーなわけだけど、彼らから見た世界は更にクレイジーなんだよねっていう視点がとても面白い。

 こういう人もいるんだよ。そうっとしておいてくれないかな。大きなお世話はいらないんだよって言うことが難しい世の中で、暴れることしかできない彼らの姿は、今の日本の縮図のような気がしてしょうがない。

2251冊目(今年271冊目)

 

この本に関する佐藤優さんと村田沙耶香さんの対談、とても面白いです。

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