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『奈落の底から見上げた明日』 照ノ富士春雄

奈落の底から見上げた明日

照ノ富士春雄(てるのふじ はるお)

日本写真企画

 18歳で日本にやって来て、鳥取城北高校に入学したところから照ノ富士関の相撲人生が始まりました。インターハイで優勝した後、入門することができた真垣部屋はアットホームな部屋でしたけど、親方の体調がすぐれず、間もなく伊勢ヶ濱部屋へ移籍したのです。この部屋には横綱の日馬富士をはじめ強い力士が大勢いて、そこで稽古を積むうちに照ノ富士はどんどん強くなり、大関になりました。でも、その頃は力任せの相撲で「そんな相撲を取っていたらケガをするよ」と言われていたのだそうです。そして、本当にケガをして休場を余儀なくされてしまったのです。

 そして、ケガよりも深刻だったのが糖尿病です。このままでいたら2~3年後に死んでしまうよと医師から言われたのだそうです。身体はどんどん弱ってしまい、稽古どころではありません。このまま相撲をやめてしまおうと何度も思ったそうです。

 でも、親方にやめたいという度に、まずは病気とケガを直しなさい。それから先に事を考えればいいと言われたのだそうです。

「何が起きても、それはすべて自分の責任」
「これからは、そう考えていきなさい」
「そうやって人間は大きくなっていくから」
いままさに大変な思いをしている人にも、親方のこの言葉を信じ、そう考えていてほしい。

 一度大関になった人が序二段まで落ちても相撲を取るというのは、相当の覚悟です。カッコ悪いじゃないか、そこまでしなくていいじゃないか、そんな考えが何度も頭をよぎったそうです。でも、自分は相撲を取るために日本にやってきたんだから、このまま終わっていいのか?いや、それは悔しい。何が何でも復帰するんだ!その一念で頑張ったのだそうです。

 そして、周りの人たちの力があったからこそということも、よくわかっています。食事療法は、奥さんがいなかったらとてもできなかった。お医者さんにも、トレーナーさんにもお世話になった。親方にも、おかみさんにも感謝しかない。自分の復帰を見守っていてくれる人たちがいるから、自分は頑張るしかない!

 

場所中、負けたときなんかは、照矢さん(呼出しさん)に話すか、駿馬さん(元力士)に電話して、そこで怒りを吐き出して終わり。そのあとは冷静になれるから、冷静になった自分と対話して、きちんと反省会ができる。
それで、感情論ではなく、具体的な対処法を理解した上で、次の日また頑張れる。負けを次の日も引きずってしまう人は、きっとそれができていないだけだろう。
重要なのは、自分に正直になって、自分の中で考えること。

 照ノ富士関は、元々頭のいい人です。だから、常にいろいろなことを考えています。ビデオを見ながら研究すること、痛めたヒザを守るために筋肉をつけるトレーニングをすること。でも一番大事なのはメンタルだということもわかっています。もし負けたとしても、それは自分の伸びしろを伸ばすためのものと捉えています。

 11月場所で全勝で6回目の優勝した照ノ富士関。その時のインタビューで、館内にいる四方向の観客、および画面越しの視聴者に向けお辞儀をし、「久しぶりの九州場所なので、開催できることをありがたく思って、土俵に上がっていました。」と話しています。

(照ノ富士)自分はそんなに才能ある力士ではないので、いろんなことができるわけではありません。一つのことを一生懸命やっているだけですね。
(アナウンサー)その一つのこととは?
(照)でかい体を正面でぶつけて、受け止めてやっていく。そういう感覚でずっとやっています。
(ア)そのお言葉を聞いていると、この15日間もまさにそんな相撲が続いたように思いますが、横綱としてはどのように捉えて土俵に上がったのでしょうか?
(照)昔からこの相撲を理想に捉えて頑張ってきたんですけど、なかなかできなかったので、ちょっとずつ理想の相撲になりつつあるのかなと思います。

 これからも強い横綱であり続けてほしいなと祈っています。頑張れ、照ノ富士関!!

2272冊目(今年292冊目)

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