『本を読む人だけが手にするもの』 藤原和博
他人の脳のかけらをつなげることで、脳は拡張する
本を読むことは、「みかた」を増やすこと
1つは「見方」を広げ、増やすこと。もう1つは「味方」を増やすことである。(本文より)
自分ひとりの経験なんてたかが知れています。だから本に書かれている他人の体験や考え方を得ることで、脳は拡張するのです。自分がこれまで知らなかった世界を知ることができるのです。
知ることの中には楽しいこともあれば、苦しいことも辛いこともあります。そういうことが世の中にあるのだと知ること、それこそが「他者と世界観を共有すること」なのです。世界のどこかにいる誰かと本を通じて出会うことができるって凄いことじゃないですか!
四六時中ネットにつながるのではなく、ネットから切れて「スタンドアローン」になることが重要になる。孤独に耐える訓練にもなるからだ。中略 本は、このようにスタンドアローンになることに適した端末だ。ただそこに黙ってあるだけ、逆の見方をすれば、本は、孤独に耐えながら読むに限るということ。そこから生まれる達成感は、次の本へ向かわせる原動力になる。
孤独が怖いから、仕方なく誰かとつながろうとする人が大勢います。でも、ネットから伝わってくる他人の幸せそうな顔に嫌悪感を持つのなら、一度断ち切る必要があるんじゃないかしら。不安だからとネットにしがみつき、逆に不安を煽られていませんか?
本を読むのが面倒くさいと思っている人は、きっとつまらない本ばかり読んできたのだろうという著者の指摘は、正にその通りだと思います。国語の教科書に載っているような作品の中には、読書好きのわたしでも「つまらないなぁ」って思うものが結構ありましたもの。
この本の巻末に著者が薦める本がたくさん上がっていました。特に「ピーターの法則」はみんなに読んでもらいたいと思う本です。
未読の本の中で「ペテン師と天才」というのが気になりました。今度読んでみようと思います。
2279冊目(今年299冊目)
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