『活版印刷三日月堂 3 庭のアルバム』 ほしおさなえ
活版印刷といっても、現代的に省略化したやり方をしているところもあるようですけど、三日月堂の弓子さんは「活字」にこだわっています。手間はかかるし、力もいるし、大変な仕事だけれど、だからこそできることがあると信じて仕事を続けています。
3歳の時に亡くなってしまった母に関する記憶がほとんどない弓子さんの前に現れた、学生時代の友達が語る母の若かりし頃の話はとてもうれしかったでしょうね。自分が生まれる前の若いころの母親に思いを馳せるって、とてもいいなぁ。母が病床で書いた短歌を読むことで、彼女の思いを知るってすごいなぁ。二十年以上の時を超えて、母子が語り合っているような気がします。(カナコの歌)
お祖母さんの家の庭で、楓さんはいろんなものを見つけましたね。庭の草花をスケッチしながら、自分が絵が好きだということ、この庭がいずれなくなってしまうことが悲しいなということ、これまでは怖い人だと思っていたお祖母さんの本当の優しさ、この庭を作ったお祖父さんの気持ちまで。これまで自分に自信がなかった楓さんにとって、この庭での思い出はとても大切なものになりました。(庭のアルバム)
いろんな人が、活版印刷三日月堂と関わることで、今まで気が付かなかった大事なことを見つけていくのが、とても心地よいのです。
・チケットと昆布巻き
「我らの西部劇」の本を作ったグループの方たちが西部劇のイベントのチケットも三日月堂に依頼してくれました。そのご縁で「月刊めぐりん」の方が印刷所の取材をしてくれたのです。
・カナコの歌
「月刊めぐりん」の川越特集を読んでいて、その中に旧友カナコの娘・弓子さんの写真を見つけた聡子さん。どうしても弓子さんに会いたくて川越までやってきました。
・庭のアルバム
カナコさんの短歌が印刷されたカードをお母さんが部屋に飾っていました。それを見た娘の楓さんは心惹かれたのです。三日月堂でワークショップを受講できることを知って、お店を訪ねたのです。
・川の合流する場所で
三日月堂も参加した活版印刷のイベントにやってきた盛岡の印刷所の悠生さんと大叔父さん、もうすたれてしまったと思っていた活版印刷が注目されていることにびっくりしたのです。
2274冊目(今年294冊目)
活版印刷三日月堂 1 星たちの栞
活版印刷三日月堂 2 海からの手紙
活版印刷三日月堂 3 庭のアルバム
活版印刷三日月堂 4 雲の日記帳
活版印刷三日月堂 5 空色の冊子
活版印刷三日月堂 6 小さな折り紙
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