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『駐在日記』 小路幸也

駐在日記

小路幸也(しょうじ ゆきや)

中公文庫

昭和50年4月5日 土曜日
神奈川県松宮警察署雉子宮駐在所。
今日からここが、私と周平さんの新しい住居と職場です。初めての日に、日々のことをこうしてきちんと日記に残していこうと二人で決めました。周平さんは業務として「日報」と呼ぶ日誌を毎晩書くそうです。それで、私も一緒に日記を書くことにしたのです。(本文より)

 元刑事だった周平さんは花さんとの結婚を機に駐在所勤務をすることにしました。そうすれば花さんと一緒にいる時間が増えるし、田舎での生活を楽しめるのではと思ったのかもしれません。

 引っ越してきてすぐにご近所の神社の神主さんや、子どもたちとも仲良くなりました。

 駐在所の建物が結構大きくて、町の図書館も兼ねていて近所の子が本を読みに来たりするのはいいなぁって思います。放課後、親がいない時間に子どもがいられる所があるって安心ですものね。

 

 田舎だから大した事件は起きないだろうと思っていたのだけれど、小さな事件がポツポツと起きるのです。でも周平さんはなるべく穏やかな方法で解決していきます。周平さんは元刑事だから、世の中の仕組みをよくわかっています。だから、むやみに悪人を作るのは良くないことだと思っているのかもしれません。

 花さんは事故で右手の指が不自由です。でもその理由はなかなか明かそうとしません。でも、それが周平さんと巡り合うきっかけだったらしいですよ。

 やっぱり小路さんの作品は人と人との結びつきと、美味しいごはんが大事なポイントなんだなぁ、このシリーズもドンドン続きそうですね。

 この4編が収められています。

・春  日曜日の電話は、逃亡者
・梅雨 水曜日の嵐は、窃盗犯
・夏  金曜日の蛇は、愚か者
・秋  日曜日の釣りは、身元不明

2289冊目(今年309冊目)

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