『十七八より』 乗代雄介
主人公の少女は 最高の任務 の彼女ですよね。不思議な感性の子だわ。古典が好きで、どこか冷めている高校生。叔母とはいい感じの関係が成立しているのに、父母弟との4人での会話は何だか空虚だなぁ。特に母親との関係は微妙に嫌な感じがします。支配したがる母親の脇の下をするっとすり抜けていくようなしたたかさもあり、投げやりな感じもあり、家族との関係を無視したがっている感じに溢れています。
様々な場面が登場してくるのだけれど、最後の方の病院のシーンがとても印象に残ってしまいました。いつもと同じ先生じゃないと困るという老婆のクレームにうまく対応できない病院の人、本を読んでいるふりをしながらもその話を無視できない少女。
その小さな事件に巻き込まれた彼女が、何もできずにオロオロしているところが妙に生々しくて、ああ、彼女のにもこういう所があるんだなって思ったのです。
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