『てぶくろをかいに』 新美南吉
こぎつねは、初めての雪にビックリしていました。
とても寒くて「おててがチンチンするよ」というこぎつねの言葉を聞いて、おかあさんきつねは手袋を買ってあげなくちゃと思うのです。
こぎつねはおかあさんが大好きで、雪の中もおかあさんにぴったりついて歩いていきます。
作者の新美南吉は4歳で母親を亡くしています。幼くして母方の祖父母の家の養子になったけれど、寂しくて父親の家に戻ってきたという幼少期の記憶が、こういう物語を書かせたのかしら。
南吉さんは、このこぎつねのように、母親に無条件に甘えたいという気持ちをずっと持ち続けていたのでしょうね。
きつねの手で手袋を買いに行ったら人間に捕まってしまうかもしれないから、こぎつねの片手を人間の手に変えたおかあさんきつねの魔法は、おかあさんの愛だったのかしら。
表紙に描かれたこぎつねは、手袋をしてうれしそう。
子どものころ、手袋を無くさないように毛糸で両方の手袋をつないでもらって、上着の袖の中を通したことを思い出しました。
2324冊目(今年23冊目)
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