『死ぬより老いるのが心配だ』 ドナルド・ホール
アイゼンハワーのパレードから60年が過ぎ、わたしはふたたびワシントンを離れ、ニューハンプシャーでの一人暮らしに戻った。
わたしにとって、問題は死ぬことではなく、老いることだ。困るのはバランス感覚を失うことであり、膝が弱ることであり、立ったりすわったりするのがむずかしくなることだ。(本文より)
ドナルド・ホール氏は祖父の時代からの古い家で暮らしています。若いころは暖炉で薪を燃やしていましたが、今はセントラルヒーティングに変えています。地下室も2階もあるけれど、もう長いこと1階だけで暮らしています。80歳の時に自動車の事故を3度起こし、もう運転はしないことにしました。どうしても外出しなければならないときには、誰かに迎えに来てもらうことにしました。
原稿は口述筆記でタイプしてもらうし、食料や本などは届けてもらえるし、筋力トレーニングのトレーナーだって家まで来てくれます。
歩行機があれば家の中を歩くのに不自由はないし、食事は冷凍食品でOK。毎日誰かが来て暮らしを支えてくれるから、80過ぎのひとり暮らしも悪いものじゃないって感じに溢れています。
なにより素晴らしいのは、家の周りの自然です。リスや鳥やキツネやヤマアラシが庭を歩いているって想像しただけでもワクワクしてしまいます。
わたしはニューハンプシャーに行った時のことを思い出しました。町を歩いていてもリスがそこまでやってきます。スズメも人が近くに来ても逃げたりしなかったなぁ。
フェイスブックは友情を失わせるためにあるような気がしてならない。Eメールやショートメッセージは郵便局をつぶす。eBayはガレージセールにとってかわる。アマゾンは書店を窮地に追い込む。テクノロジーは加速し、2倍速となり、すぐまたその2倍速となる。芸術はうたたねをしている。
歳を取れば、身体は思うように動かないし、痛いところもあるし、でも、それなりに楽しく暮らしていけるんだよってホール氏は語っています。詩はもう書けないけれど散文くらいなら書けるなんておっしゃいますけど、いやいや、どれも素晴らしい文章です。ボヤキの言葉の中からも暖かな日差しを感じてしまいます。
本書がアメリカで刊行されたのは2014年。その4年後の2018年6月23日、詩人はニューハンプシャーの美しい自然に抱かれて永い眠りについた。享年89。(訳者から より)
ニューハンプシャーと言えば、このことばです。”Live Free or Die”
ホール氏は、自由な人生を謳歌されました。
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