『心と体がラクになる読書セラピー』 寺田真理子
英国では政府公認で、医師が精神疾患の患者に対して「薬」ではなく「本」を処方する医療システム(読書療法・Bibliotherapy)というものを行っているのだそうです。
コロナ過で英国はロックダウンを行いましましたが、それを乗り切るための本として「ムーミン谷の彗星」「ムーミン谷の冬」「ムーミンパパ海へ行く」「ムーミン谷の十一月」をおすすめしています。
読書セラピーの素晴らしい点は、薬ではありませんから薬害はありませんし、手軽に行うことができます。その時の心の状態や身体の状態に合わせて本を読むことで、字を読まなくても挿絵や写真をみるだけでも効果があるのです。自分が陥ってしまっている状態・考え方を和らげてくれたり、自分だけが辛いのではないと気付かせたり、そんなことどっちでもいいじゃないと思えるようになったりするのです。
本の中でなら、たとえいくらお金を積んでも会うことのできない相手と、ひざを突き合わせて対話ができるのです。そして相手の視点を手に入れることができます。
歴史上の偉人の話を聞けたり、主人公とともに旅したり、今自分がいる環境とは全く違うところから発信される言葉に共鳴したりすることができるって、素晴らしいことです。小さな世界に閉じこもってしまっている自分を解放する何かを、本の中から得られるのです。
本を読むということを固く考えてしまって、それが読書する気持ちを奪っていることが多いのです。この「読者の権利」はとても大事なことです。本を読むことも、読まないことも自由。読むとしても、どう読むのかは自由。積読だっていいんです。今すぐに読まなくても、ずっと読まなくても自由。
読者の権利
1か条 読まない
2か条 飛ばし読みする
3か条 最後まで読まない
4か条 読み返す
5か条 手当たり次第に何でも読む
6か条 ボヴァリズム(小説に書いてあることに染まりやすい病気)
7か条 どこで呼んでもいい
8か条 あちこち拾い読みする
9か条 声を出して読む
10か条 黙っている
読書セラピーの場合には、むしろゆっくり読むことをおすすめします。
読書に人を癒す力があるというのは、これまでに何度も感じたことがあります。誰かに命令されて読むのではなく、自分が読みたいから読む。それが大事なんですね。この本で紹介されていた中から、読みたい本を見つけてしましました。そんな本をゆっくりと読んでみたいと思います。
〇気になった本
「なにか、わたしにできることは?」ホセ・カンパナーリ
『言葉の色彩と魔法』ラフィク・シャリ
わたしの読書は、これからもずっと続いていきそうです。
2331冊目(今年30冊目)
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