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『正々堂々 私が好きな私で生きていいんだ』 西村宏堂

正々堂々 私が好きな私で生きていいんだ

西村宏堂(にしむら こうどう)

サンマーク出版

 浄土宗僧侶でありメイクアップアーティストの西村宏堂さんは、ずっと本当のことを隠して生きてきました。それは、自分は他人よりも劣ると感じていたからなのです。自分はどうして普通の人たちと同じようになれないのか、できないのか、ずっと悩んでいたのです。でもそれは、悩んでもどうにもならないことでした。だって、自分は自分なのですから。それが分かってからは、自分にしかできないことをやっていこうと決めたのです。

 

得意・不得意に優劣は発生してしまうけど、「好き」って気持ちに優劣なんてないの。
相手の「好き」を認められれば、自分の「好き」をもっと好きになれる。p57

 人のことを非難する人って、きっと幸せじゃないのよね。自分が何かを我慢して生きているから、自由に生きている人のことを許せないって思ってしまうんじゃないかしら。自分が自由に生きていたら、人を構っている時間なんかもったいない。自分がやりたいことに使いたいでしょ。誰かがやっていることを認めるということは、ぐるっと回って自分を認めるということ。誰かを認められないということは、自分が自分自身を認めていない証なのよ、きっと。

 

お坊さんが時代によって変わっていくのは、当然のこと。医者だって、より効果の高い新薬が開発されれば、古い薬よりそちらを使う。そうしなければ、現代の医療にそぐわないからだ。社会だって同じ。インターネットが普及すればそれを無視して昔と同じ生活をすることは難しいし、時代に会った新しい教えや考え方でなければ誰かを助けることはできないんだよ。p114

 お父さんからのこの言葉はステキですね。お父さんも仏教関係の方だから、いろんな場面で「変えてはいけない」という圧力を感じていたんじゃないかしら。ドンドン変わっていく世の中から取り残されてしまうような宗教じゃだめでしょ。人を助けるためにある宗教が、人を苦しめてはいけないでしょ。ということを真に理解しているからこそ、こういう発言になったのでしょうね。

 

自分の気持ちに嘘をつくのは罪である p116

 仏教の教えの中に、こういう意味のことが含まれているのだそうです。そうよね、嘘をつくのは罪なのだから、自分自身に対する嘘だって罪よね。これは他の宗教でも同じはずなのだけど。

 

私、ずっと、男の子だからピンクのセーター着ちゃダメだと思っていた。女の子っぽいって言われるんじゃないかって。でも、実際着てみたら心に花が咲いたようだった。p131

 やってみたいと思っていたことを、何の意味もない理由で諦めるなんてあってはならないこと。自分が自分らしくあるために、これまで信じていた常識みたいなものを捨てるって、とても大事なことだわ。自分が着たいものを着る、やってみたいことをやる、そんな自由を奪う権利は誰にもないんです。

 他人から何か言われるのではないかと、勝手に自分を縛ってしまうのは日本人の癖なのかもしれません。でも、そんなことをしたって自分が苦しむだけなのだと気づけて良かった。何色の服を着てもいいように、わたしたちはなにものからも自由なのです。

 宏堂さんは、ずっと怯えていた若かったころのことを、いろいろと話してくれました。他人からの悪意を勝手に想像していたことが案外多かったのだと、今は笑って話せるようになりました。わたしも、あなたも、きっとそうなのです。勝手に自分には自由がないと思い込んでいたのです。

 そんなものはないんだよと、そっと背中を押してくれる宏堂さんに感謝です。

2346冊目(今年45冊目)

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