『スキマワラシ』 恩田陸
讃多(さんた)さんは調理師だったのですが、勤めていたお店が閉店になってしまったのを機に、古道具屋をやっているお兄さんの店を手伝うことになりました。といっても実際のお店があるわけではなく、口コミやネットで注文を受けての商売なので、2人の主な仕事は古道具を集めることなんです。
お兄さんの太郎さんは記憶力抜群で、古道具に関する知識が頭の中にたくさん詰まっています。でも「引手」(障子や襖などの開閉の際、手をかけるために取り付けた金具)のコレクターなので、古民家などに仕入れに行ったときには商売そっちのけで引手を見つめていることもある人です。
弟の讃多さんには不思議な能力があって、古いものに触れた時に、何かを感じたり、景色が見えたりするのです。その話はお兄さんにだけはしてますけど、他の人には内緒です。
そんな讃多さんが出会ってしまったのが「麦わら帽子を被った白いワンピースの少女」でした。
この兄弟の淡々とした信頼感がいいなぁと思いました。どんな話をしても、それを信じてくれる人がいるって凄いことです。
2人は少しずつ謎の少女に近づいていくのですが、わたしも一緒に謎を解いているような気分になっていました。
不思議なんだけど、そんなことがあるかもしれないという感じが、とても心地よいのです。
この本を手にしたときにまず感じたのは、本が分厚いということでした。うわぁと思ったけど、読み始めたらどうにも止まりません。やっぱり恩田陸の文章は面白いなぁ!その世界に、すいすいと吸い込まれていくような気分です。いやぁ、楽しかった~!!
2335冊目(今年34冊目)
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