『幻想郵便局』 堀川アサコ
就職浪人になってしまったアズサさんは、山の上の郵便局でアルバイトをすることになりました。これといった資格もないので、履歴書の特技欄に「探し物」と書いたのが、アルバイト採用の決め手になったらしいのです。でも、初日から寝坊して遅刻です!
最初から怪しいとは思っていたのですが、バイト先の登天(とうてん)郵便局は、普通の郵便局ではありませんでした。どうやらこの世とあの世の境目にあって、あの世に行く前に自分がどれだけ良いことと悪いことをしてきたのかを、功徳(くどく)通帳に記帳する人がやってくる場所らしいのです。
あの世に行けずにウロウロしている人もいるし、あの世へ手紙を送りたいという人もいるし、あの世に行った娘からの荷物が来るはずだと言ってやって来る老婦人もいるし、エライ所に来てしまったと思いつつも、少しずつ仕事に慣れていくアズサさんでした。
この世で生活している間から、功徳通帳を持たされていたら面白いでしょうね。あなたはこんな罪を犯しましたとか、気がつかないうちにいいことをしてましたねという項目が通帳に記入されていくとしたら、悪いことは怖くってできません。でも、悪いことをするような人は記帳しないんでしょうね(笑)
あの世とこの世の橋渡しをするこの郵便局で、アズサさんが探すように言われたものは、とても大事なものでした。
2354冊目(今年53冊目)
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