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『妄想美術館』 ヤマザキマリ 原田マハ

妄想美術館

ヤマザキマリ

原田マハ(はらだ まは)

SB新書

美術館ってみんなが幸せな気持ちでいる場所だと思うんです。(原田マハ)

 日本では、美術館へ赤ちゃんを連れていくなんて考えられませんよね。でも、海外ではそう珍しいことではないらしいのです。わたしが初めてその事実を知ったのは1990年にボストン美術館へ行った時でした。短パン+Tシャツのお父さんがベビーカーを押して美術館の中を歩いていたのです。あれから30年以上たった今でも、日本ではありえない光景なのが残念です。

 そして、美術館内で模写をしている学生が多いのにもビックリしました。展示されている絵を模写する人のために、ガラスケースは使用しないのだという考え方は欧米では普通のことのようです。

 芸術は特別なものではなく、気軽に触れることができるものであるって大事なことです。

 

そういえば「テルマエ・ロマエ」の担当をしていた編集者が常に「作家の人となりの味わい深さがどこからともなく露呈している作品は圧倒的に面白い」と言っていましたが、それは絵画や彫刻や建築にも共通することと言えるかもしれません。(ヤマザキマリ)

 絵が上手いとか、デザインが素晴らしいとかというのはもちろんですけど、作家の魂が込められている作品の迫力というのは、どこからともなく伝わってくるものです。だからなのかしら、全く知らない作家のものであっても、その作品に引き込まれるような気持ちになってしまうことがあるのです。

 お二人が選んだ絵画を並べる美術館を作りたいねというお話をされていましたが、それが実現したらぜひ行ってみたいです。

 なにを見ようというあてもなく、フラッと美術館へ出かけるっていいなぁって、心から思うのでした。

2338冊目(今年37冊目)

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