『HEARTBLUE』 小路幸也
ニューヨーク市警失踪人課がワットマンの仕事場。そこにサミュエルという少年が訪ねてきて「ペギーがいなくなったんだ」と捜索依頼をしてきました。その少女は一年ほど前からどこか様子がおかしかったというのです。
HEATBEAT にも登場していた巡谷(めぐりや)は、今はCGデザイナーとしてニューヨークで仕事をしています。友人のフォトグラファー、かんなが写した写真に不思議な少女が映っているというのです。そして、どうも幽霊らしいという話になり、その写真を写した場所を見に行くことにしました。
別々に進行していた話が一つになった時、かつて連続した事件が発生していたのではないかという推理が進みます。
アメリカでは「失踪人」がとにかく多いのです。誘拐、殺人などの犯罪がらみもあれば、自分から身を隠してしまう場合もあります。州ごとに住民登録をしているということもあって、別の州でこれまでとは別の人間として登録することが容易にできることもあって、失踪した人を探すのはとても大変なことなのです。
たとえ死体であっても、失踪人がみつかるのは運のいい方で、結局何十年もわからないままという失踪事件がたくさんあるのです。
そんなアメリカだけど、良い人も大勢いてストリートチルドレンを救うために養子縁組に奔走する人だっているのです。そういう善意の部分を描こうとするところが小路さんらしいなと思う作品でした。
2353冊目(今年52冊目)
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