『人のセックスを笑うな』 山崎ナオコーラ
・人のセックスを笑うな
美術専門学校に通う19歳のオレと、そこの講師で39歳のユリは恋人だ。
はっきり言って、オレは非常事態のときに力強く生き残る自信がある。ユリはまごまごするだけだろう。そういうとき、オレの方がしっかりしているだろう。オレはそんなユリを守ることができるだろう。
年上だけど絵を描くこと以外なんにもできないユリ。シワもあるし、スタイルがいいわけでもないし、おまけに亭主までいるけど、そんなユリが好きなんだという気持ちが溢れている。就職のことも考えなければならない時期だというのに、そんなこと後回しでいいと思ってしまうくらい彼女のことが好きなんだ。
恋って、そういうものだよね。理屈じゃないよね。「わたしの理想の人はこんな人」なんて他人は言うけれど、好きになっちゃったらそんなことどうでもよくなるんだよね。
・虫歯と優しさ
川西さんはピンクのスカートが似合う子で、恋人の伊東さんはいつも「きみは可愛い」って言ってくれる。今日は親知らずが痛くなって歯医者さんで治療してもらっている。
なんだか不思議なくらい、すぅっと読めてしまう文章にビックリ!
人を好きになるみずみずしい気持ちに溢れていて、とても心地よいのです。将来設計とか、お金がとか、世間体がとか、そんなこと一切考えずに突っ走れるのが恋だよね。人間っていつまでたっても大人になれないもんなんだよなぁ、だけど若い時のひたむきさは年とともになくなってしまうから、若さゆえのパワーに心惹かれるんだなって思うのです。
2340冊目(今年39冊目)
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