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『老人支配国家 日本の危機』 エマニュエル・トッド

老人支配国家 日本の危機

エマニュエル・トッド
Emmanuel Todd

文春新書

 エマニュエル・ドット氏は人口の動きを分析する専門家です。大日世界大戦後、世界では乳幼児の死亡率下がっていたのに、ソ連では 1970年から乳幼児の死亡率が上がり始めたことを指摘し、体制が最も弱い部分から崩れ始めたと主張しました。ソビエト連邦は実際に 1991年に崩壊し、トッド氏は予言者と呼ばれるようになったのです。

とくに懸念されるのは、出生時の男女比です。106人(男子)対100人(女子)が通常比率であるのに対し、今日の中国では、118人(男子)対100人(女子)という、将来の人口構成に悪影響を及ぼす異常値を示しています。出生前の性別判断が技術的に可能になり、女子の選択的堕胎が行われているのです。

 トッド氏が今もっとも注目している数字は中国の新生児の男女比です。これは「女性の地位の低さ」が原因なのです。高等教育を受けた子供、特に女子は自由に活躍できる場所へと移動してしまいます。中国の少子化は加速度的に進んでいくだろうと予想されています。

 

移民政策で犯しがちな過ち
1 移民受け入れの拡大によって、少子化対策の方をおろそかにすること
2 外国人労働者はいずれ国に帰ると思い込むこと
3 移民を単なる経済的現象と考えること
4 移民受入れに当たって多文化主義を採用すること
5 非熟練労働者の移民の身を増やすこと
6 移民の出身国をある特定の国に集中させてしまうこと

 少子化を補うために外国からの労働力を短期間だけ集めようなんて、都合の良いことを考えている人が日本にはまだ多いのです。短期間でお金を稼いで祖国へ帰ろうという人ももちろんいますけど、永住しようと考える人はもっと多いのです。それを嫌がるようだったら、移民を受け入れることはできません。

 低賃金で単純労働を担ってもらえればいいというのも、ご都合主義の考え方です。同じ人間として、同じ国で暮らす人として、様々な権利や自由を保障することが大事なのです。それがない場所からは、人は逃げていくばかりです。

 

米国は建国以来、人種差別と分かちがたいデモクラシーの国なのです。米国を作った英国人たちは、そもそも人類の平等性を信じていませんでした。彼らがどうして民主主義的な理想を信じるに至ったかを説明するには、次の経緯を認めるほかありません。すなわち彼らは、まず先住民、続いて黒人という、白人以外の人種グループに劣等のレッテルを貼りつけることで初めて、米国では白人はみな平等なのだと思えるようになったのです。

 奴隷貿易という人身売買で米国へ連れてこられたアフリカ系の人たちは、ずっと人間だという扱いを受けていませんでした。公民権を得たのは1964年ですが、それから半世紀後、オバマ氏が大統領になる時代になっても、彼に対して人種差別的発言をする白人はまだいました。そして現在でも人種差別ははっきりとあるのです。一度染みついてしまった考え方を覆すのは容易なことではないのです。

 

本来であれば、「中国との対峙」において、米国はロシアと協力する余地がたっぷりある。ところが、米国が愚かにも「ロシア敵対政策」を続けている。この点、民主党の方が対露強硬派なのが気がかりです。このチャンスを逃し、むしろ「中露接近」を招いているわけです。”致命的な戦略ミス”と言わざるを得ません。

 米国とロシアは、けん制しあうことが形骸化してしまって、それを打開しようという発想には至れないのです。中国を「共通の敵」として手を握るという手が使えないのは惜しいです。長年の「米ソ冷戦」の記憶が強烈すぎるのでしょうか。

 

天皇家が日本の家族システムと決定的に異なっている点がひとつあります。それは現在に至るまで、婿養子を取ったことが一度もないのです。近世以降、日本の家族には二割五分から四割は婿養子が存在します。婿養子を取るのは血脈の継承よりも、家名の存続に重きを置いているからだと思います。

 なるほどねぇ。家という単位で考えると婿養子という選択があるのだけど、天皇家では今までそんな必要がなかったから、今になって焦っているのか。でも、そこをクリアしないと家自体がなくなってしまうのだから、いつまでも先送りにできない問題です。

 

核家族システムのフランスでは、親を養おうという意識なんて希薄ですよ。婚外子の存在も普通のことですし、ひとり親でも子育てできる社会システムが整っているので、出生率も2.01まで押し上げられています。日本では、直系家族の価値観が、ますます少子化を進めていると思います。歴史人口学者として言っておきますが、日本における最大の問題は、「人口減少」と「少子化」です。

(日本では)意識や価値観は直系家族のままですが、実際の家族は核家族化が進むどころか、未婚者が増えて、今や「非家族化」が進行していると言っていいでしょう。若い世代が未来への不安から結婚をためらう社会なのですから、少子高齢化が進み、人口が減る一方です。

 矛盾した考えを持ち続けようとするから、いろんな意味で「無理」が発生するのです。だから様々なことを諦めてしまう人が増えているのでしょうね。未来を担う若者たちのために、もっと柔軟な考え方ができないのでしょうか?

 考えれば考えるほど、知れば知るほど、日本は劣化するばかりの国だなと感じます。ああ~、こんな国いやだ~!

2334冊目(今年33冊目)

 

石田衣良さんのポッドキャスト【オトラジ#106】驚愕の内容!『老人支配国家 日本の危機』本当にすべて老人が悪いのか?

でこの本を知りました。

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