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『ミッドナイト・ライブラリー』 マット・ヘイグ

ミッドナイト・ライブラリー
The Midnight Library

マット・ヘイグ
Mat Haig

浅倉卓弥(あさくら たくや) 訳

ハーパーコリンズ・ジャパン

本が好き!

米国

 仕事をクビになり、大好きな猫が亡くなり、友達も家族もいない。ノーラはもう生きているのが嫌になっていました。
 頭に浮かぶのは後悔ばかり、「結婚式まであと数日だったのに」「故郷に戻らなければよかった」「水泳を続けていたら」「バンドからなぜ抜けてしまったのか」

 死ぬことを決意し、彼女は死んだはずでした。でも気がついたら不思議な図書館にいたのです。そこには懐かしい司書のエルム夫人がいて、あなたの人生が後悔だらけだったと思い込んだまま死んではいけないというのです。後悔していると思い込んでいることを、もう一度確認して、本当にそうなのかを知らなければならないというのです。

 

 ノーラには様々な才能があったのに、本人はどれも大したものではないと思い込んでいました。どれも長く続けられなかったのは、自分に自信がなかったからなのです。

 不思議な図書館の力で、自分が進んだかもしれない道を見て、ノーラはいろんなことを考えます。そして、結局自分は何を求めていたのか?を自分に問い始めます。

 

 「あの時、声をかけていたら」「どうしてNOと言えなかったのか」「どうして、あれをやりたいと言わなかったのか」人はみな、様々な後悔を胸に秘めています。

 それは本当に自分で選んだ答えだったの?

 本当はそっちじゃない方に進みたかったんじゃないの?

 恋人に気に入られたかったから、親の希望が強かったから、そういう理由で決めたことに苦しめられていることがないのかしら?

 

 人生はやり直せないからって思い込んでないかな?

 今からやれることがあるんじゃないかな?

 自分は今まで何を我慢してきたのかな?

 

大事なのはあなたが何を見ているかではない。何が見えているのかだ。(本文より)

 同じ景色の中に何を見出すのか、それは自分の気持ちが左右しているのですね。不幸だと思えば不幸の元を探し、幸せだと思えば幸せの元を探し出すのです。それを無意識に繰り返していることに気づけたら、人生はこれまでよりずっと楽になるのだと、ノーラが気づかせてくれました。

 自分が持ってしまった悪い感情の原因は、誰かがそうしたのではなく、自分がそうしてしまっただけなのだと気付くのに、遅すぎるということはないのです。

 この本は 書評サイト 「本が好き!」 より献本して頂きました。どうもありがとうございました。

 P.S. わたしの頭の中でのノーラのイメージは、ビリー・アイリッシュでした。Billie

2361冊目(今年60冊目)

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