『虹いろ図書館のかいじゅうたち』 櫻井とりお
学校でいじめられていると先生に言っても、まともに取り合ってくれないことが多くて、逆にあなたに問題があるんじゃないの?と言われてしまうこともあるというニュースを見る度に、学校って何のためにあるんだろうと考えてしまうことが多いのです。
学校へ行っても教室に入るのが怖くて、保健室や図書室に登校している子がいるって事実をご存じですか。それだってまだマシな方で、家から出られなくなってしまった子どもが大勢います。
今回、司書のイヌガミさんが出会ったのは、いじめが怖くて学校の図書館とこの図書館が居場所になったケンくんと、別の問題を抱えたかおりさんです。
かおりさんは元気で友達もいっぱいいるんですけど、自分の暴力的な気持ちのことを悩んでいます。その気持ちは「おなかの中のかいじゅうが暴れる」という感じなんです。いったんあばれ始めると止められないかいじゅうを、どうしたらいいのかわからなくて悩んでいます。
ケンくんは、怒ったり、困ったりしたときに湧いてくるものを「こげた肉じゃが」みたいだと思っています。それが出てくるととても嫌な気持ちになるんです。
友達との関係、親との関係、いろんな悩みを持った子どもたちを、イヌガミさんたちがしっかりと受け止めてくれるから、虹いろ図書館はいつも子どもたちでいっぱいなんですね。学校でも家でもない第三の場所、その存在が大事です。
人事異動でイヌガミさんはどこに行ってしまうのかしら?そして、この図書館はどうなっていくのかしら?とっても気になります。
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