『知れば恐ろしい日本人の風習』 千葉公慈
昔からの言い伝えとか風習というのが数多くあります。「夜爪を切ると親の死に目に会えない」「寝言に返事をしてはいけない」なんていうのは、今でも言うのかしら?「えんがちょ」や「ゆびきり」は、今の子もやってるのかしら?
「端午の節句」に柏餅やちまきを食べるのも、「獅子舞」の獅子に子どもの頭を噛む真似をしてもらうと縁起がいいというのも、それなりに理由があるのですが、そういうものを集めたこの本を読んでいると、意味を分かってやっているわけでなく、単なる習慣としてやっていることがホントに多いなぁと思うのです。
「昔からやっている」と思い込んでいるけれど、意外と新しい習慣というのもあります。例えばお葬式の時、お棺の中のご遺体の死装束は白ですよね。極楽へ行くために、その人の身の潔白を示すために白なのだそうです。葬儀に出席する人たちもかつては白い衣装でした。中国やアジア諸国では白のところが多いようです。日本の喪服が黒くなったのは明治時代で、西洋の風習を真似たのが始まりだそうです。一般の人も黒い喪服を着るようになったのは第二次世界大戦以降なのです。
亡くなった方の死装束や遺影が「ご本人の好みが反映されたもの」であることが多くなっているように、少しずついろいろなことが変わってきています。
風習というのは、より多くの人が行うようになれば成立するわけですから、「バレンタインデーにチョコレートを渡す」「クリスマスにケーキを食べる」「節分に恵方巻を食べる」「リクルートスーツ」なども、もはや風習のたぐいになっているのかもしれません。
100年前のスペイン風邪の流行以降、日本人にとってはマスクが比較的身近でしたけど、世界的にマスク着用するのが普通である時代が来るなんて思ってもみませんでした。でも新型コロナウイルスの流行が始まって2年経ち、終息傾向にある今、世界的にはマスクはもう過去のものという感じになりつつあります。
そんな風に、今はこれが普通だと思っている風習だけれど、それがいつまで続くものなのかはわかりませんねぇ。
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