『菓子屋横丁月光荘 1 歌う家』 ほしおさなえ
川越にある菓子屋横丁にある築70年の古民家を修復して古地図の展示館にする計画があって、大学院生の遠野守人さんは、その建物の管理人として住み込んでくれないかと打診されました。今住んでいる家は大学まで遠いので、川越ならずっと近くなるし、この仕事をすれば家賃はタダ、わずかながらも給料も出るようなのです。
誰にも秘密にしているのですが、守人さんは家の声が聞こえるという不思議な力を持っています。ですから、その家がどんな家なのか見に行ってみることになりました。
その家に入ってみると、歌が聞こえてきたのです。最初はよく聞き取れなかったのですが、よく聞いてみると「出た出た月が~♪」という歌声で、守人さんも思わず一緒に歌ってしまって、この家なら大丈夫だなと確信し、ここの管理人になることになりました。
出た出た 月が
まるいまるい まんまるい
盆のような 月が
隠れた 雲に
黒い黒い 真っ黒い
墨(すみ)のような 雲に
また出た 月が
まるいまるい まんまるい
盆のような 月が
子どもの頃に覚えたこの歌、なつかしいなぁ!
この2編が収められています。
・第一話 歌う家
・第二話 かくれんぼ
家が、そこに住んでいた人の気持ちを持ち続けていて、何かを話しかけてきて、それを聞き取れる人がいたとしたら、家にとっても幸せなことじゃないかしら?家にだって、ねぇ聞いてよってことがきっとあるはずだもの。それに気づいてもらえずに放っておかれているとしたら、かわいそうよね。守人さんは、これからどんな言葉を聞くことになるのかしら?
2379冊目(今年78冊目)
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