『死にたい夜にかぎって』 爪切男
好きな女の人がいて、その人のために生きようって思えるのは幸せなことだと思う。でも、大好きなその人は大きな問題を抱えてる。鬱で薬をたくさん飲んでいる。家事はまるでできない。仕事にも行っていない。いろんな問題はあるけど、でも彼女のことが好きだ。
彼女は自由な人だから、いろんなトラブルを起こす。たいていのことは我慢してるけど、浮気されたときは頭に来る。そういう時は風俗へ行って遊んじゃう。それでスッキリすれば彼女のことを、そんなに悪く思わないで済む。
彼女が薬を少しずつ減らしている時、発作が起きて爪切男くんの首を絞めてきても、コラコラって振り払うだけ。余りにひどくてぶっ飛ばしたことはあるけど、彼女が悪いなんて思ってない。病気のせいだよって心から思えるなんて、ホントに優しい男だよ爪切男くん!
辛いこともあるさ、寂しいこともあるさ、でもそればっかりじゃない。子どもの頃は父親に殴られっぱなしだったけど、おかげで強くなった。世の中の理不尽につぶされることなく生きてこられたのは、そのせいかもしれない。
女の子に気の利いた言葉をかけることなんてできないけど、それでもいろんな人と付き合ってきた。失敗しながら学んだことは絶対に忘れない。
冷静に考えたら、かなりハードな毎日なんだけど、淡々と語る爪切男くんの話は面白い。
2367冊目(今年66冊目)
« 『展覧会の絵 ムソルグスキー友情の組曲』 アンナ・H.セレンザ 文 ジョーアン・E.キッチェル 絵 | トップページ | 『古本食堂』 原田ひ香 »
「日本の作家 た行」カテゴリの記事
- 『親子で学ぶ どうしたらお金持ちになれるの?』 橘玲 24-370-3396(2024.12.30)
- 『11ミリのふたつ星』 砥上裕將 24-358-3384(2024.12.18)
- 『山の学校 キツネのとしょいいん』 葦原かも、高橋和枝 24-329-3355(2024.11.19)
- 『「不適切」ってなんだっけ』 高橋源一郎 24-199(2024.07.13)
- 『マンガ「山奥ニート」やってます。』 棚園正一、石井あらた 24-182(2024.06.26)
« 『展覧会の絵 ムソルグスキー友情の組曲』 アンナ・H.セレンザ 文 ジョーアン・E.キッチェル 絵 | トップページ | 『古本食堂』 原田ひ香 »
コメント