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『死にたい夜にかぎって』 爪切男

死にたい夜にかぎって

爪切男(つめ きりお)

扶桑社文庫

 好きな女の人がいて、その人のために生きようって思えるのは幸せなことだと思う。でも、大好きなその人は大きな問題を抱えてる。鬱で薬をたくさん飲んでいる。家事はまるでできない。仕事にも行っていない。いろんな問題はあるけど、でも彼女のことが好きだ。

 彼女は自由な人だから、いろんなトラブルを起こす。たいていのことは我慢してるけど、浮気されたときは頭に来る。そういう時は風俗へ行って遊んじゃう。それでスッキリすれば彼女のことを、そんなに悪く思わないで済む。

 彼女が薬を少しずつ減らしている時、発作が起きて爪切男くんの首を絞めてきても、コラコラって振り払うだけ。余りにひどくてぶっ飛ばしたことはあるけど、彼女が悪いなんて思ってない。病気のせいだよって心から思えるなんて、ホントに優しい男だよ爪切男くん!

 

 辛いこともあるさ、寂しいこともあるさ、でもそればっかりじゃない。子どもの頃は父親に殴られっぱなしだったけど、おかげで強くなった。世の中の理不尽につぶされることなく生きてこられたのは、そのせいかもしれない。

 女の子に気の利いた言葉をかけることなんてできないけど、それでもいろんな人と付き合ってきた。失敗しながら学んだことは絶対に忘れない。

 

 冷静に考えたら、かなりハードな毎日なんだけど、淡々と語る爪切男くんの話は面白い。

2367冊目(今年66冊目)

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