『みらいめがね 2 苦手科目は「人生」です』 荻上チキ ヨシタケシンスケ
他人の趣味にケチをつける人は、もしかしたら自分自身に、そのような時間軸を設けているのかもしれない。何者にもなれないなら、今更努力したり、楽しんだりするのは格好悪いこと。そうやって、自分のみならず他人も、縛りつけているのかもしれない。何者かにならなくてはいけないというのは、今の自分を否定しているようで、危なげでもある。
あるいは逆に、他人が頑張る姿が憎いのかもしれない。未来を見据えている人に、つまりは自分より長い時間軸を意識している人の姿に、焦りを憶えているのかもしれない。賢明な姿を「必死だな」と軽視することで、相手の努力を妨害したり、自分の未来から目を背けられると、学習してきたのかもしれない。
他人の趣味を否定することは、他人の時間を否定すること、誰かの時間を否定せずとも、自分の時間を豊かにする方法はある。(p182)
うわぁ、この部分だけでもこの本を読んだ意味があるなと感じてしまいました。
他人の趣味や行動にケチをつけるというのは、そういう心理から生まれているのかぁ!と思ったら、とてもスッキリした気持ちになりました。自分より他人が前に進んでしまったら、自分が怠けていると思われるじゃないか。わたしを貶めるような行動は許したくない!ということなんだなぁ。
誰が何をしようと自由なはずなんだけど、自分に被害があると感じてしまうからケチを付けたくなる。そんなこと「あっしには関わりのないことでござんす」って思えれば心安らかな日々を送れるのに、どうしてそんなに気になるかなぁ?
ホントは自分もやりたいんじゃない?でも、最初の一歩を踏み出す勇気がないから、でもそれを認めたくないから、自分にはできない理由をでっち上げて、それだけでは足りないから、実行できている人を貶めようとするのかな?そういう考え方って、なんだか情けないなぁ!
他人のことを嫌だと思う時、自分をそこに重ねているということなんだから、そうやって、自分で自分を縛ってしまっていることに気づくかどうかが人生を楽しめるかどうかの分かれ道なんだよね。
自分のみらいのことを、ちゃんと考えようって、改めて思いました。
ちきさん、シンスケさん、ありがとう!
みらいめがね2376冊目(今年75冊目)
« 『ラストバトル』 草凪優 | トップページ | 『心心 東京の星、上海の月』 石田衣良 »
「日本の作家 あ行」カテゴリの記事
- 『蜜蜂と遠雷 下』 恩田陸(2022.06.12)
- 『まっとうな人生』 絲山秋子(2022.06.11)
- 『深夜0時の司書見習い』 近江泉美(2022.06.10)
「日本の作家 やらわ行」カテゴリの記事
- 「#真相をお話しします」 結城真一郎(2022.06.30)
- 『レインコートを着た犬』 吉田篤弘(2022.06.20)
- 『東京タイムスリップ1984↔2021』 善本喜一郎(2022.06.09)
- 『本と鍵の季節』 米澤穂信(2022.06.02)
- 『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』 八木仁平(2022.06.04)
コメント