『時代をきりひらいた日本の女たち』 落合恵子 小杉みのり 朝野ペコ
私が女性画家の歴史を「客観的」に語ることができないのは、黒人が人種問題について「客観的」でありえないのと同じだ。それはまだ生きられている。私の中で(略)何一つ「過去」になどなっていない(若桑みどり)
この本を読みながら感じたのは「スゴイ女性が大勢いたのだ!」ということと、それ以上に女性が何かをすることをことごとく邪魔をする男たちがいたということです。勝手に「女には無理だ、女にはできない」という考え方を押し付けてきた歴史の重さに打ち砕かれそうな気持になってしまったのです。
女子高とか女子大学というのはなぜ存在するのか?とずっと不思議に思っていたのです。その謎がこの本で解けました。男子しかいない学校に女子を入れてくれといっても入れてくれない。入れてくれたとしても差別を受ける。だから女子だけの学校を作るということだったのですね。
田部井淳子さんのページで、男ばかりの中に女ひとりが参加するということは嫌がられたので、女性だけの登山隊を作った。という文章を読んで、なるほどと思いました。女子大学が創設された理屈とまったく同じだったのです。
そして、この本で紹介されている多くの女性が母子家庭で育っていることにも驚きました。普通だったら両親揃っていてよかったねという所なのですが、特別な才能を伸ばすには男親がいない家の方がいいというのは、なんとも悲しい話だなと思います。もちろん理解ある男親もいれば、理解のない女親もいますけど、すべての人が平等に機会を与えられるべきであるという当たり前のことが、これまでも、そして今でも実現できていないのは辛い事実です。
この本は子供向けですけど、大人にも読んでもらいたい。いいえ、大人こそ読んで欲しい本です。未来の子供たちが生きやすい世界を作るために!
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