『まさか逆さま』 中村航 フジモトマサル
回文はそうじゃないんだ。終わりからも読めるっていうルールに合わせて文を作るから、現象や意味より先に文章ができる。だから時に、頭の中の想像力や、世界の現象を超える文章ができる。つまり、まったく新しい概念を、この世に提示することがあるんだ。(本文より)
昔CMで「上から読んでも山本山。下から読んでも山本山」なんてのがありました。「談志が死んだ」っていう回文は談志師匠本人が作ったという話を聞いたことがあります。回文を教えてもらうと、けっこう「ほほ~」って関心してしまうのは、なぜなのかしら?
通常の本だと文章があって、それに合わせて挿絵が描かれるということが多いのですが、この本は逆の順番でできているのだそうです。まずは回文があって、それをもとにフジモトさんがイラストを描き、その絵を見て中村さんが文章を書くという順番なんだそうです。回文とイラストがぴったりそのままということはほとんどなくて、間に何かがありそうなイラストなんですけど、中村さんは割とスラスラ文章が書けたと「あとがきにかえて」で書いてらっしゃいます。たぶん、フジモトさんの妄想が中村さんに伝わりやすかったのでしょうね。
それにしても、こんなに長い回文をどうやって思いついたのでしょうか?というものもあり、短い言葉数でピシッとまとめたものもあり、回文の奥深さを感じました。
ロシアがウクライナに侵攻している今、この文章のようになることを祈っています。戦争など望んでいる者は消えてしまえ!
駆け出す民、憎い戦火延び、頃良い和議に大賑わい、喜びの歓声、国満たすだけか。
2356冊目(今年55冊目)
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