『雌犬』 ピラール・キンタナ
雌犬 La perra
ピラール・キンタナ Pliar Quintana
国書刊行会
NetGalleyJP
☆2018年コロンビア・ビブリオテカ小説賞受賞
☆2019年英国PEN翻訳賞受賞
☆2020年全米図書賞翻訳部門最終候補
☆RT Features制作による映画化決定!!
コロンビア
ダマリスは結婚していたが、子どもがいないまま40歳を迎えていた。自分も夫も医者に行った、祈祷もしてもらった、でも子供はできなかった。子どもを産めない自分は不良品であるような気持ちで毎日を過ごしていた。
ある日、まだ生まれて6日目の雌犬をもらうことになった。まだミルクを自力で飲めない子犬に必死でミルクを飲ませ、寒くないように温め、気がついたらその雌犬の母親のように働いていた。
その雌犬を溺愛する自分にビックリし、でも不思議な充実感を感じているダマリス。夫とも町の人たちとも、どこか距離感を感じつつ生きてきた彼女にとって、雌犬は生きがいであり、自分のすべてだったのかもしれない。
だから、この雌犬が家から逃げた時の衝撃は大きかったのです。これまでに経験したことのない驚き、怒り、悲しみが押し寄せてきて、自分にこんな感情があるということを初めて知ったのでしょう。
自分の中に持ち続けてきたモヤモヤしたものを、雌犬に対する愛情で埋めてきたはずなのに、それがなくなってしまったら、この気持ちをどうすればいいのかわからない!
その気持ちはとてもよくわかるし、とてもよくわからない。
彼女はこの後、どうやって生きていくのかしら?
それとも、もう生きている意味はないと考えるのかしら?
#ピラールキンタナ #NetGalleyJP
2410冊目(今年109冊目)
« 『夜をあるく』 マリー・ドルレアン | トップページ | 『私の家では何も起こらない』 恩田陸 »
「海外 小説」カテゴリの記事
- 『絵物語 動物農場』 ジョージ・オーウェル 290(2023.10.18)
- 『The Elephant Man』 Tim Vicary 269(2023.09.27)
- 『アーモンド』 ソン・ウォンピョン 153(2023.06.02)
- 『寝煙草の危険』 マリアーナ・エンリケス 139(2023.05.19)
- 『ある一生』 ローベルト・ゼーターラー 128(2023.05.08)
「NetGalleyJP」カテゴリの記事
- 『これからの時代を生き抜くためのジェンダー & セクシュアリティ論入門』 三橋順子 334(2023.12.01)
- 『訂正する力』 東浩紀 326(2023.11.23)
- 『京都を歩けば「仁丹」にあたる』 樺山聡 京都仁丹樂會 327(2023.11.24)
「文学賞」カテゴリの記事
- 『荒地の家族』 佐藤厚志 236(2023.08.24)
- 『吉原手引草』 松井今朝子 206(2023.07.25)
- 『サマークエスト』 北山千尋 177(2023.06.26)
- 『アーモンド』 ソン・ウォンピョン 153(2023.06.02)
- 『お父さんと伊藤さん』 中澤日菜子 163(2023.06.12)
コメント