『かげろうのむこうで 翔の四季 夏』 斉藤洋
小学生の翔くんは、愛犬トラウムと散歩する高宮さんというおじさんと出会いました。そして夏休みの間、週に2回の散歩を頼まれることになったんです。トラウムは時々、翔くんにはわからない何かを見つめていることがあります。
仲良しの涼くんは、お化けが見えるらしいのです。そんな風に、自分には見えているけど他人には見えないことが他にもあるのかもしれないと翔くんは気づきます。
学校で起きたことを両親に話してみると、それぞれの反応が違っていて、仲良さそうに見えるふたりにも何か相容れないところがあるのかなって思ってみたりするんです。お母さんの機嫌を損ねないようにお父さんのマネをしていることもあるんです。
子どもは見ていないようでいて、実は大人のことをしっかり見ています。親のことは信じているけれど、納得できない場面もあるんです。
今言ったこと、いつも言ってることと違うじゃない。そうか、相手によって違うことを大人は言うのか。どうしてそんなことをするんだろう?ってね。
最近のTVCMで「いい成績を取って、いい学校へ行って、いい就職をすれば、わたしたちのように幸せになるって、お母さんが言う」というのがありましたけど、翔くんのおかあさんもそんな感じの人です。
お母さんが言っている意味も気持ちもわかるけど、それだけじゃないような気もするって翔くんが感じているような気がするんです。
家族や学校の友達以外の人と出会うことで、いろんなことを発見し、考えるようになった翔くん。
お母さんの意見も、お父さんの意見もどっちもわかるけど、実際にどうするのかを決めるのは自分なんだとわかってきたようです。こうやって、自分の考えを持つことができるように育っていける環境って大事ですね。
2401冊目(今年100冊目)
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